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日本代表 6年前

本田を先発起用すべきでない理由。日本を勝利へ導く“スーパージョーカー”の凄みと鋭さ【ロシアW杯】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

スーパーサブとして力を発揮する本田圭佑

 そしてもう1人、先発させるべきか思案のしどころなのが、24日のセネガル戦で3大会連続4得点目、しかも対アフリカ勢3連続ゴールの偉業を達成した本田圭佑。もともと西野監督が5月21日の国内合宿で始動した際には、背番号4を軸としたチームを作る意向を示していた。その思惑は先月30日のガーナ戦、今月8日のスイス戦での先発起用にも色濃く感じられた。

 しかしチーム全体が機能しなかったうえ、本田自身も運動量が少なく、攻撃の躍動感をもたらすことができなかった。それに比べて、12日のパラグアイ戦でフル出場し、1ゴール2アシストと結果を残した香川真司は明らかに動きがキレていた。その一挙手一投足を目の当たりにして、指揮官が香川を選択したのは、よく理解できるところだ。

 本田は結局、スーパーサブと位置付けられ、短時間でゴールに直結する仕事を託されることになった。

「サッカー人生でこれだけサブを前向きに考えられたことはなかった。単純に1点1点がベンチにいても嬉しいじゃないですか。例えば親善試合やワールドカップ予選でサブだったりする時は『勝って当たり前』『点が入って普通』。そういう中でサブに座ってきた。でも今は違う。ワールドカップがそうさせてくれてるんだと思う。自分も一発で決めないといけないという緊張感の中で準備してるつもりなんで」と彼は現在の立ち位置を前向きに捉え、自分にできる最大のパフォーマンスを出し切ろうと戦ってきた。

 その成果が19日の初戦・コロンビア戦での大迫勇也の決勝弾アシストであり、セネガル戦での2度目の同点弾だった。ワールドカップで3度戦った日本代表選手は何人かいるが、あの中田英寿でさえも3大会連続ゴールやアシストは果たせなかった。

 長友佑都が「ワールドカップに愛された男」と絶妙な言い回しで本田を表現したが、こんな選手はもう当分、出てこないだろう。

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