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日本代表 6年前

日本代表、ベルギー戦に生かしたい3つの教訓。ポーランド戦の失点が教えてくれること【ロシアW杯】

text by 河治良幸 photo by Getty Images

【前半32分】川島の右手一本でのセーブにいたるシーン

川島永嗣
川島が右手一本でセーブしたシーン【写真:Getty Images】

 日本から見て右サイドのルーズボールの奪い合いでボールを拾ったグロシツキがインサイドのクリホビアクにボールを出すと、柴崎がプレスにくるタイミングで右斜め前のクルザワに角度のあるパスを通す。クルザワがスピードを落とすことなく持ち上がると、同時的にレバンドフスキ、ジエリンスキ、グロシツキがフリーラン。さらに右の大外を右サイドバックのベレシンスキが駆け上がる。

 ボールホルダーのクルザワを含む5人の攻め上がりに対して日本は4バックだけで迎え撃つ状況に。クルザワをプレスバックで追いかけた宇佐美がスライディングに行くが、クルザワは転倒しながらも右のベレシンスキに出し、そこに長友が対応したためゴール前は完全な3対3となっていた。こうなるとポーランドはボールと人の動きが合えば決定的なシュートに持っていける。

 日本は3対3といってもゾーン気味にポジションを取ってボールをクリアしようと準備するが、ポーランドはその逆手を取るようにファーで酒井宏樹の手前にいたグロシツキがジエリンスキとクロスするようにインを取って、戻りながらのヘッドでゴール左を襲った。川島はニアのレバンドフスキを警戒するようなポジショニングから瞬時に修正して逆サイドに体を伸ばしたため何とかセーブできたが、非常に危険なシーンだった。

 こうしたシーンはハリルホジッチ監督の時は見られなかった形の問題だ。ボールサイドにボランチの2人が寄った上に、さらに中央に出されたボールに対してステップバックせずアプローチに行ったため裏でボールを受けられ、同数で守る状況にされてしまった。さらにペナルティエリアに吸収された状態でも槙野、吉田、酒井宏樹の3人ともボールに目が行ったことで、巻き気味にくるボールに合わせたグロシツキに付いて行けず、フリーで合わされてしまった。

 ボランチ2人が同サイドに寄せてプレッシャーをかけること自体が悪いわけではないが、そこから外されて広いところに展開された状況での判断がさらに求められる。最終ラインの対応も数的優位でバランスが取れている時はラインを取ってボールを跳ね返す準備でいいが、完全に相手のタイミングで合わせられる状況ではいかにフリーで触らせないかを意識したい。

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