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フランスには、なぜカンテのような選手が生まれるのか? 仕事人の存在こそ優勝の絶対条件【西部の目/ロシアW杯】

 20年ぶりのワールドカップ制覇をまであと1勝に迫ったフランス。そのチームにあってエンゴロ・カンテは中心的存在ではないのかもしれない。しかし、ボールを奪い、スペースを埋め続ける彼がいなければここまで勝ち進めなかったのではないか。黙々と働く仕事人がいてこそ、レ・ブルーは輝く。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

カンテのフランス

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エンゴロ・カンテ【写真:Getty Images】

 1980年代のフランスはミッシェル・プラティニがチームの顔だった。90年代後半から00年代はジネディーヌ・ジダンだ。今大会のフランスの顔を探すなら、おそらくアントワーヌ・グリーズマンなのだと思う。あるいはキリアン・エムバペかもしれない。ただ、実質的にはエンゴロ・カンテのチームなのではないだろうか。

 もともとフランスが上手く機能するときは、だいたい中盤の下がり目に抜群のハードワーカーがいる。98年の優勝チームにはディディエ・デシャン、エマニュエル・プティ、クリスティアン・カランブーがいた。準優勝の06年はクロード・マケレレとパトリック・ビエラのコンビ。そして今回はブレーズ・マテュイディ、ポール・ポグバ、カンテ。とくにカンテは中盤の底で敵のボールを刈り取りまくり、スペースを埋めまくっている。かつてのマケレレの正統後継者で、フィールド上にはカンテが2、3人いるのではないかと錯覚しそうになる。

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