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乾貴士がベティスで直面する熾烈な競争。新天地デビュー戦で見えた今季の方向性と現状

text by 舩木渉 photo by Getty Images

充実するベティスの陣容。乾も厳しい競争の中へ

 昨季は3-4-3がメインで採用され、ファビアン・ルイスとハビ・ガルシアが中盤の中央でコンビを組んだが、大ブレイクしたファビアンがナポリに引き抜かれてしまった。他の戦力流出は最小限で、補強は乾をはじめとして各ポジションに実力者をそろえたが、躍進を支えたカンテラーノの抜けた大きな穴をどう埋めるかが、今季のチーム作りの大きな肝になるだろう。

 後半、時間とともに多くの選手が交代した。ボーンマス戦で出場時間の短かった乾らは、4日予定されているカーディフ・シティとのプレシーズンマッチで先発メンバーに入るということだろう。そして、70分過ぎからのメンバーの方が、リーグ戦で主力になるのではないか。

 カナーレスとの交代でピッチに立った乾は、チームの大黒柱ホアキンとともに2シャドーのポジションに入った。1トップには昨季途中にBチームから抜擢され、一気にレギュラー格へと駆け上がったロレン・モロンが。そして乾らの後ろを、メキシコ代表のアンドレス・グアルダード、ポルトガル代表のウィリアン・カルバーリョ、ともにロシアワールドカップに出場した2人が支える。

 ウィングバックも右にフランシス・ゲレーロ、左にクリスティアン・テージョと攻撃的で、3バックの中央にはセントラルMFが本職のハビ・ガルシアが入った。昨季後半戦をアキレス腱の負傷で棒に振ったズハイル・フェダルが完全復活を遂げて最終ラインに戻ってきたのも大きい。

 多少の入れ替わりはあっても、今季はボーンマス戦の後半のメンバー・布陣が基本線になりそうで、乾のポジションはエイバル時代の左サイドから、より内側に立つ2シャドーの一角か。ここまでに述べてきた通り、ベティスの戦力は充実しており、レギュラーポジションは一切確約されていない。

 スペインはトップチームの登録人数が25人、背番号1〜25までと決められている。そのうち1番、13番、25番はGKなので、フィールドプレーヤーに与えられる枠は22人分となる。乾は14番と決まっているので問題ないが、レンタル復帰組のトシュカやブラシャナツ、現状で昨季までと同じ26番以降を着けているフランシス、フィリポあたりも当然レギュラー争いに絡んでくるので、Bチーム登録のままではいたくないだろう。

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