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Jリーグ 6年前

マリノスが失った金井貢史という太陽。万能性だけでない稀有な存在価値、仲間たちに託した道標

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ユーティリティ性だけでない多大な貢献

 ピッチ内では、やはりユーティリティ性が大きな武器だった。「左も右もセンターバックもできる選手はJリーグを見てもなかなかいない」と飯倉が言えば、マリノス育ちのベテランDF栗原勇蔵も「元々賢いし、サッカーのセンスもあったけど、間違いなく移籍するまでの貢史は選手人生で一番脂の乗った、いい選手になっていたと思うし、そういう意味ではまだまだレベルアップすると思う」と後輩の成長に目を細めた。

 2008年にユースからマリノスのトップチームに昇格し、2013年からはサガン鳥栖へ移籍。2015年のジェフユナイテッド市原・千葉在籍を経て、2016年に古巣マリノス復帰を果たした。その間にはJ2も経験し、大きな武器となるマルチなタレントや攻撃的なプレーに磨きをかけてきた。

 もう1つ見逃せないのは、チームのムードメーカーとしての存在価値だった。苦しい時でも一番大きな声を出しているのは、いつも金井。6月末に新潟県十日町市で行われたキャンプ中も、酷暑で疲労も溜まり、暗くなりがちな練習でうるさいほど声を張り上げていた。もちろん手を抜いたり、弱気なプレーをしたりすれば、それが誰であろうと大声で叱りつける。強気のパーソナリティは見えないところでチームを支えていた。

「選手っていろいろな価値があって、その中で貢史はムードメーカーだったし、毎朝練習する前に、ロッカーだったり、チームであいつが若いやつをイジることによって、みんな明るくなっていた。寂しい気持ちがすごくあるけれども、あいつが持っているマリノス仕込みのいいものはたくさんあった」(飯倉大樹)

「チームにとっても元気印というか、常に前向きなオーラを発している選手がいなくなるというのは影響は少なからずあると思う。貢史くんはそういうパーソナリティを持った人だったし、みんなを元気に明るくできるような人でもあった」(喜田拓也)

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