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Jリーグ 6年前

イニエスタが使い分けた3つの顔。圧巻の2戦連発弾だけではない、その他に見るべきものとは

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

高くなるハードルも軽々越えていく

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イニエスタは様々な顔を見せた【写真:Getty Images】

 常に全体を見ているという点では、守備の貢献も光る。37分、広島の川辺が右サイドでボールを持つと、イニエスタがスルスルと間合いを詰める。前の針路を塞がれた川辺はタッチライン際へ誘導される。そしてイニエスタは左右の足を伸ばし、最後はボールを突いて外に出した。奪いきることはできなかったが、しつこく、それでいてファウルにならないクリーンなプレーだった。

 前節の磐田戦では、相手のパス交換に割って入る形でボールをカットしている。磐田の名波浩監督はイニエスタの『予測力』に着目していた。自分たちが何をするかだけでなく、相手の考えを読んで先回りしているということだろう。

 広島戦は1-1のドローに終わり、神戸は勝ち点3を上乗せすることができなかった。首位チームの堅いブロックを崩すのは容易ではなかったが、それでもイニエスタは再びスーパーゴールを決めて見せた。前節に引き続きホームスタジアムで挙げたことに意味がある。ファン・サポーターはその目で世界最高MFの活躍を見ることができる。

 この日、イニエスタはゴールを奪うだけでなく、激しいマークに対しても冷静に自分のプレーをし、守備でも相手の選択肢を消す巧さを見せた。圧巻のパフォーマンスが続いたことで相手の警戒レベルもさらに引き上げられるはずだが、イニエスタはそれすらも軽々超えていくのではないか。

(文:青木務)

【了】

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