小さいメリットを生かした攻撃
堂安律と中島翔哉【写真：Getty Images】
攻撃では中島が別格のプレーぶり。細かなステップと急停止で相手を翻弄していた。小回りの利いたプレーは、こういうタイプに慣れていない相手には非常に効果的だ。逆サイドの堂安も同じで、彼らがアウトサイドで切り返すだけでマークがほどけていた。
さらに2人とも切り返しから小さな足の振りで際どいクロスボールを繰り出す。最初は中と合っていなかったが、後半には中島のクロスに南野がヘディングで合わせた惜しいチャンスがあり、さらに息があってくれば得点パターンとして確立されそうだ。堂安は切り返して抱え込んだ状態から、ほんの少しの動作で蹴り出せる特徴があり、そのときに周囲もよく見えているので、ショートパスのコンビネーションにつなげられるだろう。
両サイドが似たタイプでドリブル起点なので対応もされるだろうが、堂安に代わった伊東は縦へ運ぶ力がありドリブルのタイプが違う。選手起用で変化はつけられそうだ。サイドバックとの連係を加えていけばより鋭い武器になるはずだ。
もう少し多くの選手を見たかったが、2試合のはずが1試合だけになってしまったので仕方がない。日本らしいプレーをして勝利できたのは何より。これを継続しながら、多様性のある相手に対してのアイデアを加えていってほしい。
（文：西部謙司）
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