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日本代表 6年前

南野・中島・堂安という新たな希望。森保監督が戦術に組み込んだ「ドリブル」という個性

日本代表は11日、キリンチャレンジカップ2018でコスタリカ代表に3-0で勝利を収めた。森保一監督にとって初陣になった試合で目を引いたのは、前線の選手たちのゴールに向かう意識の強さ。さらに彼らの「ドリブル」という武器を戦術の一部に組み込んだ指揮官のチーム作りにおける考え方も見えてきた。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

日本代表で発揮された「個性」

堂安律 南野拓実 中島翔哉
コスタリカ戦に先発した堂安律、南野拓実、中島翔哉(左から)の3人は存分に個性を発揮した【写真:Getty Images】

「得意なプレーはドリブルでの突破です」

 サッカー選手、とりわけ攻撃的なポジションの選手は、自分の長所に「ドリブル」を挙げることが多い。だが、ピッチ上で自慢の武器が効果を発揮しない…ということもよくある。簡単に奪われる、スピードが足りずにかわしきれない、ドリブルには失敗した時のリスクも存在する。

 さらに言えば、世界のトップレベルの選手たちと対峙する日本代表レベルになると、ドリブルに対して要求されるレベルも相応に上がる。ドリブルにも「運ぶ」「突破する」など多様な役割があることも十分に理解していなければならない。だが、日本に世界と対等に戦えるレベルのドリブルを武器とする選手はわずかしかいない。

 これまで日本代表で「ドリブル」と言えば、2010年の南アフリカワールドカップに出場した松井大輔や、今年のロシアワールドカップで輝いた乾貴士が象徴的だろう。前者は超絶技巧を駆使して相手を揺さぶり、後者はスピードとキレで守備者をキリキリ舞いにする。彼らは日本人選手で数少ない世界レベルを知るドリブラーだ。

 そんな中、森保一監督が率いる新生日本代表に、今後への希望を抱かせるドリブラーたちがいた。指揮官は「全ての選手に自分の持っているものを思い切り出してほしい。個が持っているスペシャルなものに自信を持ってもらえるように」と何度も繰り返してきたが、リスクになりかねない個性を存分に発揮させる組織を作り上げた。

 11日に行われたキリンチャレンジカップ2018のコスタリカ代表戦で、先発メンバーの一員としてピッチに立った中島翔哉と堂安律、そして南野拓実の3人は、4-2-3-1の2列目で持てる力を存分に発揮した。

 いずれもロシアワールドカップ出場を逃して悔しさを噛み締めた選手たちだ。特に中島はヴァイッド・ハリルホジッチ体制最終盤にチャンスを得て高い評価を獲得しながら、監督交代後に23人の選択肢から外されてしまい、世界の舞台に立てなかった。

 それ故に今回は4年後のワールドカップに向けて、代表に定着するための大きなチャンス。アピールに燃える彼らのコスタリカ戦におけるプレーで最も目を引いたのは、ベクトルが常にゴールに向かっていることだった。ボールを受ければ、まず単独でゴールを奪いにいくプレーを選び、それがダメなら次善の策に素早く切り替える。その中に優先順位の高い選択肢としてドリブル突破があった。

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