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日本代表 6年前

南野・中島・堂安という新たな希望。森保監督が戦術に組み込んだ「ドリブル」という個性

text by 舩木渉 photo by Getty Images

攻守のイメージが噛み合った南野の代表初ゴール

 中島であれば左サイドに張ったところから、カットインしてペナルティエリアの左角付近で右足シュートまで持ち込むプレー。堂安は中央寄りにスタートポジションを設定して、複数人に囲まれても強引に割って入り、ゴール前に直線的に入っていくプレー。南野はよりシンプルだが、周りにフリーの選手を作るための時間を生み出すプレー。それぞれが武器を最大限に発揮するための動きの中に、ドリブルが組み込まれていた。

 さらに森保監督は「全員がタフに粘り強く戦い抜くこと」を常に強調しており、前線の選手たちにも守備での貢献を要求していた。一方で、しっかりと組織として守備の役割を果たせば、攻撃面は前線のタレントの個性やコンビネーションを尊重する姿勢も一貫していた。

 確かに中央寄りにポジションをとる堂安は時折攻撃から守備への切り替えで後手を踏む場面も見られたが、ブロックを敷いて相手の攻撃を受け止める際にはしっかりと自陣に戻り、コンタクトプレーも厭わなかった。南野の守備に対する意識も見事だった。ボールを奪われればすぐに切り替え、ファーストディフェンダーとして相手のビルドアップの起点をけん制し続けた。

 彼らの「やるべきこと」と「やりたいこと」が最も噛み合ったのは66分の日本の2点目の場面だ。GK東口順昭が蹴ったロングパスが相手DFに跳ね返されたところ、中島がこぼれ球にいち早く反応してボールを回収。南野とスイッチし、そのまま左サイドに走ってマークを引きつける。

 南野はスペースのあった中央をドリブルで運んでスルーパスを狙うが、これは相手に阻まれる。だが、こぼれ球を遠藤航が素早く回収して左に開いた中島へ展開。10番を背負った24歳は、カットインしてシュートを打つ素振りを見せて、追い越してきた遠藤にスルーパスを通す。最後は攻撃参加した遠藤がゴール左の深い位置から折り返し、詰めていた南野が相手DFの股を通すシュートを決めた。2年10ヶ月ぶりの日本代表招集で、ようやく手に入れた初ゴールだった。

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