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日本代表 6年前

南野・中島・堂安という新たな希望。森保監督が戦術に組み込んだ「ドリブル」という個性

text by 舩木渉 photo by Getty Images

見逃せないサイドバックの「ドリブル」

佐々木翔
左サイドバックの佐々木翔も「ドリブル」で攻撃を積極的にサポートした【写真:Getty Images】

 ペナルティエリア内には南野以外にも、ストライカーの小林悠、そして右サイドから堂安が入ってきていた。南野のドリブルでコスタリカの最終ラインはゴール前まで押し下げられ、その目の前にぽっかりと空いたスペースにフィニッシャーが、いつでもゴールを狙える状態を作っていたのである。

 有利な体勢で仕掛けられる状況さえ作れば、相手の目線を釘づけにできるドリブルの効果は大きくなる。1人、2人と対応にくるディフェンスが増えれば、その分相手のチーム全体にズレが生じ、他の場所にフリーな選手が生まれたり、大きなスペースが空いたり、攻撃側に大きなアドバンテージが転がってくる。局面に優位性を生み出す効果的なドリブル突破を絡めた攻撃をチーム戦術に組み込んだ森保監督は、日本代表の未来に向けて新たな指針を示したとも言える。

 そして、ドリブラーたちをサポートする後方の貢献も見逃せない。左サイドでは、中島の後ろを佐々木翔が常に支えていた。オーバーラップしていく回数は少なかったが、それは10番の突破力を信頼しているからこそ。

 佐々木は左サイドバックでありながら右利きで、中盤でも苦なくボールを扱える落ち着きも備えた選手。コスタリカ戦でも、左のタッチライン際ではなく、あえてスペースの少ない中央に向かってボールを運ぶことで複数の相手選手を引きつけ、左サイドの高い位置で中島にDFとの1対1の状況を作れるよう献身的に支えた。

 右サイドバックで先発した室屋成は「選手に合わせてポジションニングだったり、追い越すタイミングだったりを変えるのは大事」と話していたが、前方の堂安が中央寄りに立つことでできるアウトサイドのスペースを活用したり、堂安の多少な強引な仕掛けに対するリスクを考えてオーバーラップを自重したり、これまで以上に攻守において柔軟なプレーで成長の跡を示した。

 後半アディショナルタイムの日本の3点目の場面でもドリブラーが輝いた。途中出場の伊東純也が、右サイドに張ってボールを引き出して縦に仕掛ける。一旦はクロスに切り替えるかに思われたが、フェイントを入れて自らペナルティエリア内に切り込み、左足の強烈なシュートをゴールネットに突き刺した。

 それまでにも、あえてアウトサイドに張らず、中央寄りの位置から外に開く動きで後方からのボールを呼び込むなど、伊東は爆発的な縦へのスピードだけでない自らの価値を示し、その突破力をより効果的に発揮する術があることを見せた。

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