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日本代表 6年前

南野拓実の類稀な得点感覚。ELで決勝弾、日本代表にもつながるザルツブルクでの起用法

text by 舩木渉 photo by Getty Images

南野の得点感覚を100%生かすには?

 ザルツブルクは4-3-1-2を基本布陣に戦っている。対戦相手にもよるが、守備では2トップのプレッシングを起点に全体を押し上げながらボールホルダーに複数で寄せる局面を次々に作り出すことを目指している。

 高い位置でボールを奪えれば、手数をかけずにゴールまで一直線。一方、ボールポゼッション時は両サイドバックに高い位置をとらせながら、2トップ+トップ下、さらに3人のセントラルMFも加えて6人で中央を厚くして相手を押し込んでいく。

 中盤はセントラルMFタイプを多く起用するためサイドに張り出さない。それによってスムーズにサイドバックがタッチライン沿いを駆け上がれ、オーバーラップからのクロス、ペナルティエリア内に人数をかけてのフィニッシュも十八番の形だ。

 ただ、南野とてこのシステムの中で絶対的な存在ではない。エースストライカーのダブールは不動。中盤では強豪クラブからのオファーが殺到しているというマリの至宝アマドゥ・ハイダラと、アンカー的に振る舞うディアディエ・サマセックが、抜群の推進力でチームのエンジンになっている。

 今のところ、南野はトップ下で起用される試合が多くなっている。しかし、そこでは守備面のタスクが重荷となって本来の魅力を100%表現しきれていない印象だ。

 例えばオーストリア・ブンデスリーガ第8節のラピド・ウィーン戦、南野が入ったトップ下は攻撃から守備に切り替わると左ウィング的にポジションをとっていた。ところが守備から攻撃に移ったタイミングでサイドに出ているため、ゴールから遠く、効果的にチャンスに絡めない場面も散見された。結果的に1ゴールを決めてはいるが、トランジションの一瞬の隙を突かれる拙さも目につき、攻撃での優れた感覚が薄れてしまった。

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