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Jリーグ 5年前

「何を取っても表現しづらい」。イニエスタ擁する神戸も危ない? 大混戦のJ1残留争いを読む【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

「お!コイツが決めたか」という選手が出てきてほしい

 どのクラブも厳しい戦いが続いているけど、ひょんなきっかけで好転することもある。昨シーズン、最終的に新潟はJ2に降格したけど、最後は4連勝で終わったんだ。

 それまでは打たれるシュートがみんな入っちゃうようで、踏んだり蹴ったりだった。ディフェンスに当たって入っちゃったりとか、その1本が防げなかった。ところが、攻撃が機能したり何かが良くなった瞬間に守りも落ち着いてきた。もう残留は難しいとなって開き直った部分もあったのかもしれない。色々な要素があると思うんだけど、いい方に事が運ぶようになった。1勝したことによって流れが出て、自信も復活してきて、こういう風に戦えばいいんだというのを選手たちがわかり始めるんだよね。

 選手って「なんで俺たち勝っちゃうんだろう?」、「今日勝てるゲームじゃなかったよね」というのがあるものなんだ。でも、それは自分たちが引き寄せている流れ。呂比須(ワグナー)が作ってきたものが最後にいい方に動き出したということ。ストレスがなくなったとか、それまでの怖さがなくなって自分を出すしかないとか。そういうこともグループにはある。

 その意味では今シーズンも、やる気がないとか、仲違いして崩壊しているチームってないと思うんだ。それが前提にあるとして、どういう形でもいいから点数を取ること大事になる。グループで守ることはできるけど、その分、慎重になって点数が取れないということがあるから、そこに誰かが出ていてほしい。ラッキーボーイが絶対に必要だよ。ミドルシュートが劇的に入っちゃうとかね。

 そういう流れを自分たちに持ってこられるチームが残るよ。「お!コイツが決めたか」という選手が出てきてほしいね。

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。

【了】

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