【英国人の視点】鹿島・安部裕葵に感じる“本物”の予感。大舞台に立つだけでは満足しない、その資質
鹿島アントラーズは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)王者としてクラブワールドカップに挑んだが、3位決定戦でリーベル・プレートに敗れた。しかし、この大会で19歳の安部裕葵が大器の片鱗をのぞかせた。(文:ショーン・キャロル)
2018年12月28日(金)9時00分配信
宇佐美や武藤に通じる存在感
Jリーグからは時折、本物ではないかと思えるような選手が現れてくる。
もちろん、好調な時期を過ごしてポテンシャルを垣間見せ、所属クラブのファンの期待を高めたかと思えば、その最初の輝きに上積みを加えるのに苦戦し始め、次のレベルへと進むために必要なものを手に入れられないような選手も毎年のようにいる。
だが時々は、最初から全てを備えた若手が出てくることがある。もちろん洗練と改善は必要だとしても、材料は揃っている。安部裕葵はそういう選手たちの一人だ。
10年前に私が日本にやってきた頃には、ガンバ大阪で17歳の宇佐美貴史が旋風を巻き起こしていた。2014年には大卒1年目の武藤嘉紀がFC東京で圧倒的な存在感を見せ、欧州のビッグクラブからの関心を引きつけていた。今季は鹿島アントラーズで安部が彼らと同じような力を見せた。
19歳の安部は宇佐美や武藤ほど得点力の面で脅威になるわけではないが、ピッチ上での振る舞いを見れば、アジア最高のチームですでに全く問題なくプレーすることができている。試合を決められる選手になれる力は十分にある。
U-19日本代表が来年のU-20ワールドカップの出場権を獲得する戦いを助けてインドネシアから帰国したあと、すぐにACL決勝1stレグのペルセポリス戦に先発起用されたことは、彼が鹿島ですでに高い評価を得ていることを示した。安部は指揮官からの期待を裏切ることなく、チームが2-0の大きな勝利を挙げる上で重要な役割を演じた。
大舞台にも怖気づく様子は全く見せず、あらゆる形で相手に問題を引き起こしていた。チャンスがあればボールを前へ運び、何かを起こそうと試みていた。