【英国人の視点】鹿島・安部裕葵に感じる“本物”の予感。大舞台に立つだけでは満足しない、その資質

2018年12月28日(Fri)9時00分配信

text by ショーン・キャロル photo Getty Images
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北中米、欧州、南米の強豪相手に堂々

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大舞台に立つだけでなくそこでインパクトを残すことが彼の狙い【写真:Getty Images】

 スコアが2-1で試合の行方がまだ確定していなかった83分、鹿島の攻撃がストップされ、グアダラハラのMFオルベリン・ピネダがボールを持って大きく前進。危険なカウンターアタックを繰り出そうとしていた。

 この状況で多くの若手選手は、正直にボールを奪い返そうと試みることだろう。だが危険に敏い安部は分が悪いことを理解し、チームのために犠牲になることを厭わず、明らかなファウルを犯してイエローカードを受けた。

 これで鹿島は自分たちの命運を握り続けることができ、60秒後には安部自らがGKラウール・グディーニョの必死のダイブも届かない完璧なシュートを叩き込んで勝利を決定づけた。

 グアダラハラ戦では交代出場だった安部だが、この試合で鹿島に勝利を引き寄せる重要な役割を果たしたことで、準決勝のレアル・マドリー戦では先発に復帰。チーム全体としてはガレス・ベイルとその仲間たちに対抗しきれず、ハーフタイムの前後に守備が緩んだ代償として3点のリードを奪われたが、安部は機会があるたびにダニ・カルバハルに対してチェイスし、最後の笛が鳴るまで前線からボールを追い続けた。

 次のリーベル・プレート戦でも鹿島は敗者の側に回ることになったが、4-0というスコアはリーベルにとって出来過ぎたものだった。鹿島がクロスバーを叩く場面も3回あったし、3点目と4点目は89分と93分に記録されたものだ。安部はこの試合でもボールを持てば常に脅威となり、大舞台に立つだけでなくそこでインパクトを残すことが彼の狙いであることを改めて印象づけた。

 今季のような成長を続けていくことができれば、そういう日が来るのはそう遠いことではないはずだ。

(文:ショーン・キャロル)

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【了】

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