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日本代表 5年前

日本代表を翻弄…アジアカップのVAR運用プロセスを検証。得点取り消し&PK獲得は正しかったのか?

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Shinya Tanaka

堂安律、VARに助けられPK獲得

堂安律
堂安律はペナルティエリア内に仕掛けたことでPKを獲得。それを自ら決めて日本を勝利に導いた【写真:Getty Images】

 では2度目の介入はどうだろうか。53分、原口元気からのパスを受けた堂安がペナルティエリア内に侵入したところで相手選手との接触で地面に倒れる。だが、そこで反則は取られず、通常通りプレーが続けられた。

 ボールはベトナムのGKがキャッチし、試合はそのまま流れていく。主審が左手を耳に当ててVARと何かしらの交信している様子は確認できたが、オン・フィールド・レビューを宣言したのは、なんと堂安が倒されてから1分45秒も経過した後だった。

 その間にベトナムは交代も行っている。まずこの運用が正しかったかについてだが、『サッカー競技規則』では「反則かどうか疑わしいが、プレーを続けさせた場合であっても、その反則についてはレビューすることができる」となっており、ルール上は何分後にオン・フィールド・レビューをしても構わないことになっている。

 ただ、「プレーが停止され、その後再開された場合、主審は、人間違い、あるいは、乱暴な行為、つば吐き、かみつき、または、非常に攻撃的な、侮辱的なまたは下品な発言や身振りといった退場を命じる可能性のある反則の場合を除き、『レビュー』を行うことができない」という決まりもある。

 今回、堂安に対する反則をレビューできたのは、ボールがピッチの外に出てベトナムの交代が行われた後、GKのゴールキックでプレーが再開されていなかったからだった。この場面ではギリギリのタイミングだった。もしゴールキックが蹴られた後にオン・フィールド・レビューを行おうとすれば、その時点で運用ミスとなっていた。

 だが、チャンスの場面などでなければプレーが続いている状態でも、中立な地域にボールが移動するまたは中立な状況になったら試合を止めてレビューを要求できるため、もっと早いタイミングで宣言することもできたはずだ。ちなみにVARによる確認の対象となるようなプレーの直後にカウンターなどでゴールが生まれた場合にも遡ってレビューを要求できるかどうかは競技規則に明記されていない。

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