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日本代表 5年前

南野拓実、未来へ繋げるべき決勝の一撃。苦悩と充実…新たなエースが挑んだアジアカップ

text by 元川悦子 photo by Getty Images

香川真司も復活を期す。定位置争いは激化へ

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香川真司もトルコ移籍で復活を期している【写真:Getty Images】

 献身的な走りとハードワークで守備には確かに貢献していたが、トップ下の偉大な先輩・香川真司を超えようと思うなら、それだけでは足りない。もちろん本人は自分と香川との比較など一切しないないだろうが、日本代表トップ下の前任者と比べられるのはある意味、やむを得ないこと。その高い壁を乗り越えるためにも、目に見える結果がどうしてもほしかった。

 結果として日本はカタール戦で入りに失敗し、あと一歩のところでアジア王者の座を逃すことになった。南野もヒーローにはなり損ねたが、重圧のかかるファイナルでトンネルを抜け出し、一矢報いる得点を挙げたことは必ず前向きな未来につながる。そうしなければ、苦悩に苦悩を重ねた意味はないのだ。

「代表選手としてこういう大会を戦うのはすごく楽しかったし、サッカー選手として喜びを感じた。だからこそ、代表のユニフォームを着て、もっとプレーしたいと思った。その分、悔しさも大きい。この経験を自分の成長につなげて、いつかリベンジしたいです」と神妙な面持ちで語った24歳のアタッカーにとって重要なのはここから先だ。成長速度を引き上げていかなければ、大激戦のトップ下のポジションでは生き残れないからだ。

 トルコ移籍で復活を期している香川もまだまだ健在だし、鎌田大地や安部裕葵ら若いタレントも追い上げてくるだろう。幼少期からの夢であるワールドカップ出場を現実にしようと思うなら、ライバルたちより点の取れる選手であることを実証しなければならない。

 アジアカップでは非凡なゴールセンスを出し切ることはできなかったが、ファイナルでの1点は自信にしていい。この一撃が今後の南野拓実にどのような影響をもたらすのか。彼の変貌に期待するしかない。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

【了】

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