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「ネイマールのPSG」から「トゥヘルのPSG」に。CLベスト8へ、選手の胸に響いた指揮官の熱き言葉

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

守備陣の奮闘が目立つ

 センターバックの要、主将チアゴ・シウバの活躍は言うまでもない。卓越した危機察知能力でゴール前に迫る相手を阻止し、単独でマッチアップしている仲間がいればすかさずヘルプに走る。ユナイテッドを応援していた側にとっては「くそーまたシウバそこにいたかよ!」と罵りたくなったことだろう。

 右サイドのティロ・ケーラーは、俊敏性を生かして相手の左サイド、アントニー・マルシャルをよく防いでいたから、怪我でトマ・ムニエが欠場となっていなくても、トゥヘルは彼を起用していた気もする。そしてセンター左のプレスニル・キンペンベは、53分、アンヘル・ディ・マリアが蹴った右CKを押し込んで先制点を決める大金星プレー。

 右サイドハーフのダニエウ・アウベスの存在も大きかった。彼のような肝の据わった熟練プレーヤーはこういう試合には欠かせない。

 ファウルすれすれのところまで相手にプレッシャーをかける、これまた味方なら頼もしいが敵だったら嫌な奴きわまりないプレーでゴリゴリの力勝負を制した。それに彼は想像以上に足も速いから、気づくととんでもないところにいたりする恐ろしさもある。

 左サイドのフアン・ベルナトは、スター軍団の中でふだんから存在感があまりないのだが、そこがある意味、強みになっていた。彼もかなりの俊足であり、おまけにポジショニングセンスに優れているため、いつのまにか良い位置に走り込んでいるのだ。

 キリアン・エムバペが仕留めた2点目のシーン、アシストしたディ・マリアに、バックラインからの中継役となってパスを出したのはこのベルナト。ピッチ中央の“おいしい場所”で、彼は完全にノーマークだった。

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