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Jリーグ 5年前

マリノスは異例の主将3人制。天野純と喜田拓也が語った強烈な覚悟、そして指揮官の意図とは?

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「先頭に立つ覚悟はある」(喜田)

喜田拓也
喜田拓也は少年時代から過ごしてきた特別なクラブでキャプテンという大役を任されることに【写真:Getty Images】

 まさか新シーズンまでにキャプテンを決めるつもりがないのでは…とも感じたが、複数人を昨季の中澤が務めた役割に任命することも想像できた。扇原は昨季、背番号22の欠場期間中にゲームキャプテンとして腕章を巻いていたし、天野と喜田は下部組織出身の古株選手。ある意味、自然な人選と言えるかもしれない。

 また、「リーダーシップ」は昨季の課題でもあった。中澤が膝の故障で長期欠場を強いられてから、ピッチ上で先頭に立ってチームを導く役割の不在は明らかで、何人かの選手が指摘していた解決すべきポイントとも一致する。

 チームのリーダー格の1人、GKの飯倉大樹は「ちゃんと『キャプテン』という存在がいれば、そういう1人が引っ張っていくことがある種ベストなのかもしれないけれど、監督はその方針じゃない。ピッチに出たら選手が全員、リーダーシップや責任を持ってやっていければいい」とポステコグルー監督の考えに同調していた。

 では、実際にキャプテンに任命された選手たちは、今年の自らのチーム内での役割をどう考えているのだろうか。その1人、喜田はユース出身で昇格してプロ7年目。今季は退団した中町公祐から直々に背番号8を託され、生え抜きとしてのプライドを持っている。

「(マリノスは)やっぱり自分が育ってきた特別なクラブですし、特別な感情だったり、気持ちは当然ありますけど、それによって何か人が変わるとか、行動が変わるとか、そういうイメージは持っていない。いままでも自分に正直に、仲間を大切にしながらやってきて、その結果こうやって任命してもらえたと思うので、そこは変える必要はない。

いいものを作るには(キャプテンの)3人の力だけじゃなくて、チームメイトだったりスタッフの皆さんの力も必要なので、絶対に。『僕らだけの力じゃなくて、みんなの力もいいチームを作るには必要』だと最初のみんなの前での挨拶でも言わせてもらいました。ただ苦しい時だったり、いい方向に導かなきゃいけない時は、その先頭に立つ覚悟はあるので、そこのバランスはとっていきたいなと思います」

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