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いわきFCの育成革命(後編)。中学生年代は体育からやり直し、地域の社会的問題解決も視野に【いわきFCの果てなき夢】

異彩を放つトレーニングで注目を集めるいわきFCは今季、東北社会人サッカーリーグ1部に昇格した。着々と成長を遂げるトップチームだが、育成組織も新たな取り組みにトライしている。キーマンはジュニア年代のトレーニングにおける第一人者である、小俣よしのぶ氏。いわきスポーツクラブ(いわきFC)のアドバイザーを務める氏は、いわきFCに何をもたらすのか。2回に分けてお届けする。(取材・文:藤江直人)

シリーズ:いわきFCの果てなき夢 text by 藤江直人 photo by Editorial Staff
「ジュニアサッカーを応援しよう!」連動企画
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「スポーツ万能」を復活させる

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「いわきスポーツ・アスレチック・アカデミー(ISAA)」の様子【写真:編集部】

☆前編はこちら☆

 一般社団法人のもとで活動していたいわきFCの運営権を、アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める株式会社ドーム(本社・東京都江東区、安田秀一代表取締役CEO)が設立した株式会社いわきスポーツクラブが譲り受けたのが2015年12月だった。

 新体制のもとでスタートしたトップチームは、目標のひとつに「日本のフィジカルスタンダードを変える」を掲げて、2016シーズンを戦った福島県社会人リーグ2部から全勝をキープ。カテゴリーをひとつずつ上げてきた過程で、2017年の天皇杯ではJ1の北海道コンサドーレ札幌を破るジャイアントキリングを成就させて日本サッカー界を驚かせた。

 同時進行でアカデミー組織も整備し、今春からはU-15が全学年、U-18も2学年がそろい、2017年からはGirls U-15も発足。小俣氏がいわきスポーツクラブのアドバイザーに就任した直後の同年8月には、4歳から12歳までの子どもたちを対象とした運動体験スクール、いわきスポーツ・アスレチック・アカデミー(ISAA)もスタートさせている。

「最初に大倉代表取締役とお話したときに、いわきの子どもたちに社会的な問題があると言われました。例えば体力が低下しているとか、あるいは肥満が著しいとか。

 クラブとしてそれらの問題を解決したいという目標があったので、サッカー選手を育成するのではなく、いろいろな運動体験をさせることで運動が得意になる、あるいは運動が好きになる子どもをここで育てようとなりました。そこで掲げたのが『スポーツ万能の子どもを育成する』です。スポーツ万能はいまでは死語なので、もう一度復活させたいと思っています」

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