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日本代表 5年前

日本代表に“香川真司がいる”という意味。「背中で引っ張る男」がもたらすものとは?

text by 元川悦子 photo by Getty Images

注目は南野拓実との競争? 共存?

日本代表
南野拓実(左)と香川真司(右)の共存はあるのだろうか【写真:Getty Images】

 5年前の夏、初めて世界の舞台に参戦した香川は10番の精神的重圧と当時所属していたマンチェスター・ユナイテッドでの出場機会の少なさが災いし、予期せぬ不調に陥った。

「キミはアレッサンドロ・デルピエロになれる」と絶賛し、つねに攻撃の軸に据え続けてきたアルベルト・ザッケローニ監督がブラジルに行ってからスタメン落ちを宣告するほど、香川は本来の自分を失っていた。

 そんな屈辱から4年が経過した昨夏、彼は本田圭佑とのポジション争いに勝ってトップ下の定位置をつかみ、コロンビア戦開始早々にPKを決めるという大仕事をやってのけた。そのPKも相手守護神のダビド・オスピナの動きをじっと見据えて、逆を取る余裕さえ漂わせた。この成功体験は彼の大きな財産になっているに違いない。

「コロンビアには絶対に勝たなきゃいけない」と本人も言い切ったが、チームをそういう方向へと導き、ロシアの再現を果たせれば、香川の代表での完全復活が叶うはずだ。

 森保ジャパン発足後はトップ下の定位置をセレッソ大阪時代の後輩、南野拓実が務めてきたが、「タイプは違うと思っている」と言う。

 確かに所属クラブで主に2トップの一角として使われているストライカーの南野と、お膳立てもできる中盤的要素の強い香川は異なる特長を持った選手。相手の出方や日本の戦い方によって2人が有効な駒として働くことができれば、日本代表の戦い方の幅は確実に広がる。その可能性の一端をコロンビア相手に示せれば、香川の3度目のワールドカップ参戦も見えてくるのではないだろうか。

 これまで通り、10番を担うのか否かはまだ未知数ではあるが、いずれにしても彼が日本攻撃陣のスイッチを入れる大役を担うのは間違いない。この男の凱旋試合となる次戦・コロンビア戦から目が離せない。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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