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日本代表 5年前

冨安健洋が描くスアレス、カバーニの抑え方。ウルグアイの老将が信頼を置く2大エースの凄みとは?【コパ・アメリカ】

日本代表は現地時間20日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)、グループリーグC組第2戦でウルグアイ代表と対戦する。ウルグアイのルイス・スアレスとエディンソン・カバーニは、日本代表の脅威になることは間違いない。日本の最終ラインを支える冨安健洋は、ウルグアイが誇る“二大エース”をどのように抑えようと考えているのだろうか。(取材・文:河治良幸【ポルトアレグレ】)

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ウルグアイが誇る“二大エース”

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ウルグアイのエディンソン・カバーニ(左)とルイス・スアレス【写真:Getty Images】

 森保一監督が率いる日本代表はコパ・アメリカのグループリーグ第2戦でウルグアイ代表と対戦する。初戦でチリに0-4と大敗してから中2日で迎える一戦は、日本がこの大会に残っていく資格があるのか、3試合で弾き出されてしまうかがほぼはっきりする試合だ。

 日本代表が勝利を目指すことはもちろんだが、状況によっては最終的に勝ち点1をもぎ取って次のエクアドル戦につなげるしたたかさが求められてくるかもしれない。

 就任13年目のオスカル・タバレス監督が率いるウルグアイは前線から最終ライン、GKに至るまで名うてのタレントで構成されている。ただし、経験豊富な選手ばかりだったチリに比べると年齢層が幅広く、レギュラークラスを見ても33歳のディエゴ・ゴディンから21歳のマルセロ・サラッチまでいる。それこそがウルグアイの強みであり、見方を変えればロシアワールドカップという節目を終え、新たなサイクルに取り組んでいる過程とも言える。

 前線もマキシミリアーノ・ゴメスやガストン・ペレイロといった気鋭のストライカーが台頭し、ベテランのクリスティアン・ストゥアニもスペインのジローナでゴールを量産したが、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニという“二大エース”が主力として君臨することに変化はない。

 そしてチリが日本を破ったのと同じ4-0というスコアで勝利したエクアドル戦でもスアレスとカバーニがゴールを決めており、ウルグアイとしてはこれ以上ないスタートを切った形となっている。

タバレス監督も信頼を置く

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冨安健洋は、ウルグアイの攻撃陣を抑えるポイントを話す【写真:Getty Images】

 タバレス監督はこの二人に関して、スアレスは2006年にスタートしたアンダーカテゴリーからA代表まで一貫した体制の象徴的な存在で、タバレス監督の就任時からU-20で台頭し、2007年にコロンビア戦でA代表デビューしてから伝説を築いてきた。

 カバーニはスアレスと同じく2007年のU-20ワールドカップに出場して3得点を記録すると、スアレスから1年遅い2008年に同じくコロンビア戦でA代表デビューした。

 3位と躍進した2010年の南アフリカワールドカップ、悲願の優勝を果たした2011年のコパ・アメリカはディエゴ・フォルランに次ぐ存在として支え、それ以降は”二大エース”として前線に君臨し続けている。

 親善試合や南米予選でどちらかが欠けることはあっても、重要な試合や大会では二人がウルグアイを牽引してきた。百戦錬磨のタバレス監督も「彼らにはあまり提案することがない。どちらがベストとも言えないし、重要な二人の選手だ」と信頼を置く。

 タイプとしてはスアレスがよりゴール前のペナ幅で常に相手のディフェンスと駆け引きしながら前向きに勝負するのに対し、カバーニは大柄でありながらワイドに動いて味方のパスを引き出し、ポストプレーからサイドのチャンスメークなどに関わりながら、最後はゴール前にいるというプレーを得意としている。

 二人とも前からのディフェンスをしっかりとこなすことで、攻守にわたりウルグアイのプレー強度を高めており、前線に二人が揃ったときの迫力は世界にもなかなか類を見ない。

 最近では中盤でのポゼッションも取り入れている攻撃において、スアレスとカバーニもそこにうまく絡んで前線の起点として機能しているが、やはりもっとも怖いのはカウンターがはまったときだ。短い時間に二人ないし、サイドハーフのニコラス・ロデイロかナイタン・ナンデスを加えた三人でフィニッシュまで完結してしまう。

冨安健洋が描くウルグアイ対策

 日本のディフェンスを最終ラインの中央から支える冨安健洋は「二人にボックス内でボールが渡ると僕らにとって難しい状況になる。いかにボックス内に入れすぎず、下げすぎずに守備できるか」と分析するが、鋭利なカウンターがはまってしまうとかなり厳しい状況に追い込まれることは間違いない。

 それでも「チリ戦より僕らディフェンスは高い位置で守備したいと思っていますし、コンパクトに保つ」ことで前から攻撃の厚みを出させず、高い位置からのカウンターも起きにくい状況にすることは大事だろう。

 ただ、仮に日本がチリ戦よりリズムよく試合をコントロールすることがあっても、彼らは一瞬の隙やミスを突いてワンチャンスで決めてくる選手たちでもある。冨安はチームとして上記のような守りをした上で「どれだけ予測して先に先に対応できるかは大事なポイント。スアレス選手は僕たちの嫌なこと、体をぶつけたりするので、そこでどれだけ主導権を握れるかを意識してプレーしたい」と語る。

 相棒がチリ戦と同じ植田直通になるかU-22世代から今回のメンバーに抜擢された立田悠悟になるか、あるいは3バックになるかは分からないが、冨安には守備の統率と個の対応の両面で獅子奮迅の働きが求められそうだ。それでも守りだけで完璧に防ぎ切ることは不可能に近く、攻撃でウルグアイのディフェンスを脅かせるかどうかとセットになってくる。

(取材・文:河治良幸【ポルトアレグレ】)

【了】

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