「経験するだけの南米選手権ではない」。森保一監督が見せた勝利へのこだわりと、冨安健洋が背負う重責【コパ・アメリカ】

日本代表は現地時間20日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)、グループリーグC組第2戦でウルグアイ代表と対戦する。日本代表はこの試合で、世界屈指の2トップ、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニに対峙することになる。イタリア・セリエA移籍が噂される冨安健洋にとって、この試合は成長の大きなチャンスになるかもしれない。(取材・文:元川悦子【ポルトアレグレ】)

2019年06月20日(Thu)19時00分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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「経験するだけの南米選手権だとは思っていない」

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日本代表の森保一監督【写真:Getty Images】

 コパ・アメリカのグループリーグも第2節に突入。ベスト8に進める3位通過のラインは勝ち点4になりそうだ。B組の最終戦でアルゼンチンとカタールが引き分け、パラグアイがコロンビアに敗れれば、勝ち点3でも8枠に入れる可能性はあるものの、やはり4ポイント取れるかどうかが分かれ目になるだろう。となれば、日本代表は現地時間20日のウルグアイ戦での勝ち点に強くこだわる必要がある。

「1戦目の敗戦を受けて、ホントにどれだけ勝ちにこだわってウルグアイ戦にのぞめるかというところを見たい。経験するだけの南米選手権だとは思っていないので、選手たちがそこに挑んでいく姿を見たい」と森保一監督も強調した通り、17日のチリ戦の4失点惨敗を糧に、次戦の日本は泥臭く戦う集団に変貌しなければならない。

 しかしながら、2006年から指揮を執るオスカル・タバレス監督の下、フェルナンド・ムスレラやディエゴ・ゴディンら経験豊富なベテランを中心にチーム成熟度を高めてきたウルグアイはチリ以上の難敵だ。

 とりわけ、警戒しなければならないのが、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニの強力2トップ。16日のエクアドル戦時点で国際Aマッチ108試合出場57ゴールのスアレスと、同111試合出場47ゴールという実績を誇るカバーニは誰もが認める世界トップの点取り屋に他ならない。

「つねにゴールを狙っているストライカーなので、スキを与えれば一瞬で仕事ができるし、チャンスを逃さない。その集中力はすさまじい」と過去何度か彼らと対戦している川島永嗣も、彼らの際立った得点センスに舌を巻いたというが、若い守備陣にとっては未知なるゾーンに違いない。

「自分たちが主導権を握ってやれるかが重要」

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冨安健洋は「先に対応できるかが大事なポイント」と話す【写真:Getty Images】

 森保監督が「前回と同じ形で行く」と明言したことで、ウルグアイ戦の日本は4-2-3-1の踏襲が基本線。守備陣の陣容もGK大迫敬介、DF(右から)岩田智輝、植田直通、冨安健洋、杉岡大暉と前回から1人の変更にとどまりそうだ。チリの強度を体感した彼らが、どこまで組織的かつ粘り強い守備を見せられるか。そこが強力2トップ封じの第一歩となる。

「守備の部分ではより局面でのマッチアップが増え、(選手個々の)できることとできないことがハッキリすると思う。そういう形で責任を持って選手にはプレーしてもらいたい」と指揮官は語ったが、2トップに対しての4バックだとCBはFWとの1対1を制することが前提になる。つまり、植田と冨安にはスアレス、カバーニを最終的な局面で確実に封じ、無失点で乗り切ることが求められてくるのだ。

 そこは前日会見に出席した20歳の冨安もしっかりと心得ている。

「僕個人として、どれだけ世界で有名なストライカーを抑えられるかは求めていきたい部分。そう考えてこの大会にのぞんでいます。そのために、どれだけ予測して先に先に対応できるかが大事なポイント。スアレス選手であれば僕らの嫌なことをしてくると思うし、いろいろ駆け引きしてくる中で、相手に主導権を渡さず、自分たちが主導権を握ってやれるかが重要だと思います」

急成長を遂げる最高のチャンス

 今大会に挑むジャパンの若き守備の大黒柱は、つねに先手を取りながらプレーすることの重要性を強く認識している。パートナーの植田もより頭を使いながらの守りが必要だ。彼らにかかる負担は非常に大きくなりそうだが、この難局をクリアしてこそ、日本の8強入りが見えてくるのだ。

 ただ、ゴール前で1対1になる前に2トップへの配球を寸断することも重要だ。冨安はそのこともしっかりと考えなければならないだろう。

「ウルグアイの映像を見ましたけど、シンプルにカバーニ、スアレス両選手を起点に攻撃してくると思いますし、2人にボックス内でボールが渡ると難しくなるので、中に入れずに、自分たちもラインを下げずに守備できるかが肝心。チリ戦以上に高い位置で守備をしたいし、コンパクトに保つことが重要になる」と冨安は自らに言い聞かせるようにコメントしていた。

 そうやって周りを動かし、自らは1対1の局面を確実に制する堅守を披露できれば、フルメンバーが揃うA代表に戻った時も、年長の吉田麻也や昌子源らにもアクションを起こせるようになる。20歳の若さでそれだけの器の大きなDFに飛躍できれば、日本代表を長く支えられるリーダーにもなれる。今大会、そしてグループ最強のウルグアイ戦は急成長を遂げる最高のチャンスになるだろう。

 冨安はイタリア・セリエAのボローニャ移籍が決まりつつあると報道されている。今回スアレスとカバーニを完封してこそ、新天地で定位置を確保し、より一層の存在感を発揮することにつながる。DFとしての自信をつける意味でも、今回の大一番で彼に託されるものは大きい。その重責を果たし、チリ戦4失点惨敗のショックを完全払しょくすること。そういうシナリオを現実にしてほしいものだ。

(取材・文:元川悦子【ポルトアレグレ】)

【了】

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