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Jリーグ 5年前

フロンターレ、多摩川クラシコ完勝の理由。準備されていた完璧な狙い、見えた3連覇への道筋

明治安田生命J1リーグ第19節、首位・FC東京対4位・川崎フロンターレ戦が14日に行われ、敵地で川崎Fが3-0と大勝した。優勝を狙える位置にいる両チームの多摩川クラシコということもあり4万2401人の大観衆が訪れた一戦は、気持ちを前面に出したアウェイチームが前線からの連動した激しい守備と素早い攻守の切り替えで圧倒。さらに緻密なスカウティングや百戦錬磨のFC東京・長谷川健太監督も読み切れなかった大胆な選手起用などで上回った。逆転での3連覇に向け、見えた王者の戦い方とは。(取材・文:下河原基弘)

シリーズ:週刊Jリーグ通信 text by 下河原基弘 photo by Getty Images

FC東京に見せつけた王者の貫禄

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川崎FはFC東京との多摩川クラシコを3-0で制した【写真:Getty Images】

「川崎のプラン通りにゲームが運んでしまって、そのまま終わってしまった」。FC東京・長谷川健太監督も認めるしかないほど、この試合の川崎フロンターレは強く盤石だった。

 FW小林悠、MF中村憲剛を先頭に激しくプレッシャーをかけ続ける。前だけでなく後ろの選手も連動する隙のない動きに、FC東京の選手はパスコースを失い分断されていった。さらに相手を敵陣に押し込み、ボールを奪われてもすぐに奪い返して攻撃する姿は、さすがリーグ2連覇中の王者と思わせた。

「先週鳥栖に引き分けた試合でプレスがはまらない、後ろがついてこないというのをオニさん(鬼木達監督)がすごく反省点にあげていて。今週1週間はそのトレーニングを本当にうまくできたので、今日はプレスを前からかけて、後ろが連動する守備はかなりできたと思います」と小林。

 実は試合前、鬼木監督は選手たちにある覚悟を示していた。「仮に今日の戦いで負けたとしても前からしっかり行こう。こういう戦いをして負けたのなら次につながる」。強い気持ちで引くことなく、最前線から当たっていくことを求めていたのだ。そして、それをピッチ上でイレブンは完全に体現した。

 攻守の切り替えの早さも特筆ものだった。本来はFC東京の持ち味と言うべき部分でも川崎Fが上回った。FC東京のMF橋本拳人が「相手の切り替えがすごく早く感じました。今日は奪った後に奪い返されることが多かったので、それではなかなか攻撃できないと思った」と話せば、MFナ・サンホも「まさに、そこが今日の試合の肝だったのかなと。相手の切り替えが早いので、自分たちがボールを奪った後もつなげなかった。そういったところで攻撃の筋道を絶たれたしまったことが敗因の1つではないかと思っています」と肩を落とした。

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