ついに日本代表に登りつめた”苦労人”も。本命不在のポジションは…Jリーグで飛躍した3人の争い

日本代表は19日、キリンチャレンジカップ2019でベネズエラ代表と対戦する。5日前のキルギス戦からは主力選手9人が抜け、Jリーガー9人が加わった。その後のカタールワールドップ・最終予選や本大会に向けて、1トップの候補に名を連ねる3選手の争いは興味深い。(取材・文:元川悦子)

2019年11月19日(Tue)10時09分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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「キルギス戦を戦った選手たちが軸」

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日本代表の(左から)オナイウ阿道、鈴木武蔵、永井謙佑【写真:Getty Images】

 14日のキルギス戦を2-0で勝利し、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選を4連勝で折り返した日本代表。だが、来年の2次予選後半戦、最終予選を視野に入れると、まだまだ選手層や戦い方のバリエーションが足りないのは確かだ。

 19日のベネズエラ戦はチーム底上げを図る絶好の機会。6月のコパ・アメリカ2019(南米選手権)で優勝したブラジルと1次予選で引き分けるなど底力のある相手と主力数人を欠くチームがどこまで戦えるのか。そこは大いに注目される点だ。

「基本的にキルギス戦を戦った選手たちを軸に、明日のメンバーを考えていきたい。フォーメーションも基本的に4バックのシステムをスタートでは使いながら、試合の途中でどうしていくかを考えたい」と森保一監督が前日会見で明言した通り、今回も常連組主体の構成で挑むことになる。

 GKはキルギス戦でスーパーセーブを連発した権田修一が有力。だが、2次予選でまだ出番のない川島永嗣の可能性もありそうだ。最終ラインは室屋成、植田直通、畠中槙之輔、佐々木翔が濃厚。ボランチも大黒柱の柴崎岳に山口蛍が絡む形になりそうだ。

 攻撃陣はキルギス戦に先発出場した原口元気が左、出番のなかった浅野拓磨が右、南野拓実不在のトップ下に中島翔哉の並びになるのではないか。キルギス戦で2次予選突入後初めてスタメン落ちした中島は「監督は相手との相性もあったりして選手を選ぶので全く気にしていない」とコメント。いち早く気持ちを切り替えている。今回は彼の創造性とアイディアが重要なアクセントになるのは間違いないだろう。

ミシャのサッカーを学んだ鈴木武蔵

 そして気になるのは1トップ。キルギス戦は永井謙佑が陣取り、スピードを生かした攻めが期待されたが、相手のキーマンDFキチンのマークに奔走せざるを得なくなり、点取屋としての仕事は思うようにはできなかった。

「僕自身、アウェイのゲームに出たのは初めてなんで、いろんな経験ができた」と本人は語っているものの、絶対的1トップ・大迫勇也のバックアップ役としては物足りなさを残したのも事実だ。

 そういう背景があるだけに、永井をそのまま起用するのか、それともフィジカル的な強さを駆使して前線で起点を作れる鈴木武蔵を抜擢するかは森保監督も判断が分かれるところ。ただ、昨年11月のベネズエラ戦で前線でタメを作れる大迫が出場してもかなりの苦戦を強いられたことを考えると、今回は体を張れるタイプを前に置いた方がベターだ。となれば、ピッチに立つのは鈴木武蔵というチョイスになりそうだ。

「(FW陣は)それぞれ特徴違う。大迫選手には大迫選手のよさがあるし、永井君も永井君のよさがある。そこは忘れちゃいけない。僕も自分らしさっていうのは忘れずに成長できたら一番いい。自分の場合は高さや強さが1つの特徴ですけど、ミシャのサッカーで1年間やってきて、動き出しの部分はすごい考えるようになった。そこはすごく大事だなと思います」と本人も頭を使いながらプレーすることを学んだという。ベネズエラのような強い相手に巧みな駆け引きができるか否か。今回は彼の一挙手一投足をしっかりと見極めたいものだ。

「ポスト大迫」をめぐる3人の争い

 その2人の間に割って入ろうとしているのが、A代表初招集のオナイウ阿道。今季J1では永井を上回るリーグ戦10ゴールを奪い、「ポスト大迫」の一角に急浮上してきた。鈴木武蔵と同じハーフで身体能力は抜群。ユース年代の時には南野や井手口陽介、三浦弦太らとともに2014年AFC・U-19選手権にも参戦するほどポテンシャルの高さは評価されていた。

 その後はジェフ千葉、浦和レッズ、レノファ山口でのプレーを経て、今季大分でようやくブレイクを果たした。その苦労と努力を今回の代表招集機会にぶつけ、チャンスを手にしようと本人も躍起になっている。

「『いつかは代表に』という思いはもちろんありましたし、もっと上を目指さなきゃいけないとも思う。ここをスタートにできるようにしたい。そのために一番大事なのは結果。使ってもらえた時にゴール、アシスト、ゴールに関わるプレーをどれだけできるか。質の高いものを見せられるかだと思います」とオナイウは自らの仕事を冷静に受け止めている。

 出番が訪れたとしても短時間だろうが、そこで鮮烈なインパクトを残せば今後はどうなるか分からない。限られたチャンスを最大限有効活用していくことが肝要だ。

 今年1月のアジアカップの時から「ポスト大迫問題」は重大なテーマとして森保ジャパンにのしかかり続けてきた。大迫がいない時のチームはつねに苦戦を強いられ、攻撃面もスムーズに運ばないことが多かった。

 その問題点を改善しない限り、日本代表は最終予選で苦しむだろうし、本大会で悲願の8強入りを果たすことはできないだろう。今回呼ばれている永井、鈴木、オナイウの中で誰が生き残り、大迫に続くFWとしての地位を確立させるのか。そういう意味でベネズエラ戦は興味深い一戦になるはずだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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