川島永嗣の真相。ロシアW杯コロンビア戦、失点後の“アピール”にあった極限の賭け【インタビュー(2)】

2010年の南アフリカ大会から2018年のロシア大会までの3大会、ワールドカップの全試合でゴールマウスを守った川島永嗣選手がW杯ロシア大会直後に語ったインタビューを『新・GK論 10人の証言から読み解く日本型守護神の未来』(田邊雅之著)から、一部抜粋し全4回で公開する。今回は第2回。(取材・文:田邊雅之)

2020年01月01日(Wed)10時10分配信

text by 田邊雅之 photo Editorial Staff
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「最後の瞬間まで全力でトライした」

川島永嗣
日本代表守護神の川島永嗣【写真:編集部】

 初戦のコロンビア戦、前半39分にフリーキックから同点に追いつかれたシーンには、GKというポジションの難しさ、そしてGKを評価する基準の難しさが集約されていた。

 そもそもチーム戦術の観点から述べれば、GKは壁の裏側ではなく、オープンスペースをケアするのが鉄則になる。ましてや日本代表では、フリーキックの際に下を抜かれないように、壁を作った選手はジャンプをしないようにするというのが、事前の了解事項になっていたとされる。その意味でも、川島の非ばかりが問われるべき場面ではなかった。

 ただし川島は、最後の最後まで必死のセーブを試みた。瞬時に反応し、ギリギリのところまで腕を伸ばしてボールに触れただけでなく、すぐにボールをかき出すと、審判にラインは越えていなかったとアピールしている。

──コロンビア戦のフリーキック、ご自身ではどう振り返られますか?

「あの場面では、ボールが壁を抜けてきた時点で、ゴールに入ってしまうことがわかりました。ましてや僕は壁の右側に立っていたし、ボールは完全にゴール左隅に向かっていく軌道になっていましたから。

 僕としては、それでもなんとかして失点を防ぎたい。かと言って普通に真横に跳んだのでは、どう考えてもタイミングが間に合わない。ボールに触ることすらできないのは、明らかだったんです。

 だから僕は、ゴールライン・テクノロジーのビデオ判定でなんとかセーフになるようなレベルでもいいから、ボールをギリギリのところでゴールライン上に残すためのプレーに賭けた。手が届くタイミングとボールのコース、ゴールラインの位置を計算した上で、あえて後方に少し角度をつけながら腕を伸ばして、全力で横に跳んだんです。

 あの場面に関しては残された可能性に賭けて、最後の瞬間まで全力でトライしたというのが、僕の中での真実なんです」

 誤解を避けるために断っておくと、当初、川島はコロンビア戦の失点シーンについて詳述することを少し躊躇った。嫌な場面を思い出したくないというのが理由ではない。日本代表のゴールを守る人間として、言い訳をしているような印象を与えたくないというのが本意だった。これはグループリーグの2戦目、セネガル戦でキャッチングではなくパンチングを選択した場面も然りである。

──セネガル戦の失点シーンについては、いかがでしょうか?

「あのボールが来たときには、(ペナルティエリアの中に)すでに選手がたくさんいる状態だったんです。しかも相手の選手はシュートを打てる状態で、シュートコースの角度まで確保していた。特に(サディオ・)マネは目の前にいましたから、ボールを弾くなら彼をかわせるように、遠くまでパンチングしなければと思っていました。

 でも結果的にはボールが正面に向かい、ゴールを決められてしまった。それに自分の基準に従って冷静に振り返るなら、パンチングという選択は正しくなかったし、判断ミスだったと思います。

 ボールがもっと強かったら、危険を回避するためにパンチングをするという選択もあったのかもしれない。でもあのシーンであれば、キャッチをするのが自分のスタンダードになる。それができなかったんです」

(取材・文:田邊雅之)

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<書籍概要>

『新・GK論 10人の証言から読み解く日本型守護神の未来』
定価:本体1800円+税
日本が世界で勝つために必要な、新時代のゴールキーパー(GK)論。 楢﨑正剛、川島永嗣、東口順昭、林彰洋、権田修一、シュミット・ダニエル ら日本を代表するGKら10人への総力取材で読み解く、日本型守護神の未来とは?
“身長を言い訳にする時代は終わった。GKこそ“日本化”が最も必要なポジションである。”
本書は、GKの見方をアップデートする新しいバイブルとも言えます。

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【了】

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