清水エスパルス、中村慶太はバルセロナMFに似ている。「剥がせるボランチ」は攻撃型へ変わるチームの象徴的存在に【西部の目】

今季から清水エスパルスの指揮を執るピーター・クラモフスキーは、攻撃的なチームへとシフトさせようとしている。これまでは攻撃的MFでプレーすることが多かった中村慶太はその象徴的な存在だ。1-3で敗れた2月23日のFC東京戦で、指揮官は中村をボランチで起用している。ポジションを一列下げたことで活かされる中村の特徴は、チームにどのような変化をもたらすのだろうか。(文:西部謙司)

2020年03月06日(Fri)10時00分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
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剥がせるボランチ

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【写真:Getty Images】

 清水エスパルスは、横浜F・マリノスのコーチだったピーター・クラモフスキー監督が就任してプレースタイルがかなり変わった。中村慶太はその象徴的存在といえるかもしれない。

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 これまでの中村のポジションはサイドハーフ、トップ下など主に攻撃的MFだった。しかし、開幕戦では4-2-3-1のボランチとしてプレーしている。攻撃力に特徴のある選手をこのポジションで起用しているところに、新監督の攻撃への意欲がうかがえる。

 背筋の伸びた姿勢で、最初の一歩や反転が速い。ボールタッチが確かで、自信満々のキープと正確なパスでパスワークの中心になっていた。重心の低い持ち方と安定感は、バルセロナのブラジル人、アルトゥールと似ていると思った。

 剥がせるボランチである。受けて捌く、守備で奮闘する、だけでなくボールを持って対面の相手をドリブルで抜くことができるのだ。剥がせるボランチは、いわば諸刃の剣になる。それだけ高い技術があるので、味方はその選手にボールを預ける機会は多くなる。そこでキープして時間を作れる、場合によっては1人外して前に運べる。剥がせるボランチは、魅力的で局面を変えられる貴重な存在だ。ただ、そこでボールを失うと一転して大きなピンチにも陥りやすい。

 プロになってからあまりプレーしていないポジションにしては、開幕戦の中村は無難という以上にこなしていて、とても存在感があった。あれだけのプレーを見せられると、対戦相手からは警戒されるに違いない。それを上回るパフォーマンスを続けられるかどうか。

コストかリスクか

 今季のJ1はまだ1試合とはいえ、相手のビルドアップに対してハイプレスを仕掛ける場面が多く見られた。GKも使いながら、自陣の最深部からでもパスをつないでいこうというチームが増えているので、それに対抗するための守備として、ハイプレスも必然的に増えているわけだ。ビルドアップを狙われ、ミスから失点するケースは増えそうだ。すでに開幕戦でも横浜FMや鹿島アントラーズがそれで失点している。

 回避すべきリスクと考えるか、それともパスをつないでいくスタイルに付きもののコストと捉えるかで、その後のチームのあり方は変わってくる。清水のクラモフスキー監督は後者ではないかと思う。はっきりと攻撃型に舵を切っているので、多少のリスクを怖がることはないだろう。

 チャンスを得点に変えられるか、相手のカウンターを止められるかは、攻撃型へシフトする際に越えなければならないハードルだ。FC東京戦は先制しながら、その後はチャンスをゴールに変えられず、相手のカウンターも許し、1-3と逆転負けを喫した。

 ただし、攻撃するためのパスワークは上手くいっていた。中村慶太は個人でもチームでもボールを運べる。大きな課題は残っているとはいえ、第一段階はクリアしているようにみえる。今後はマークされるだろうが、それも乗り越えていくならチームを軌道に乗せる大きな力になるはずだ。

(文:西部謙司)

【了】

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