久保建英を「追い越せる存在に」なるため。セレッソ大阪、西川潤が胸に抱く果てなき向上心【東京五輪世代の今(12)】

新型コロナウィルス感染拡大の影響でJリーグの再開時期が未定になり、東京五輪は今夏の開催が見送られることが決まった。思いがけずおとずれた中断期間に、東京五輪世代の選手たちは何を思うのか。今季からセレッソ大阪に正式加入した西川潤にその胸中を聞いた。(取材・文:元川悦子、取材日:2020年1月30日および2月16日)

2020年04月05日(Sun)15時00分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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パリ五輪世代だが…

西川潤
【写真:Getty Images】

 東京五輪が1年延期され、2021年7月23日に開幕で準備が進められることになった。新型コロナウィルスの感染拡大が日に日に深刻化し、セレッソ大阪からも永石拓海の陽性が明らかに。一度は4月25日から段階的に公式戦を開催する予定だったJリーグの再開時期も白紙に戻された。

 1年3ヶ月後の大舞台も確実に開催できるとは言い切れないところがあり、男子サッカーの「23歳以下」という年齢制限の解釈がどうなるかの見通しも立っていないが、まずは新型コロナウィルスの流行収束を前提に準備を進めるしかない。

 こうした状況下でも前向きに進もうとしている選手は数多くいる。とりわけ、年齢の若い選手は「五輪までのアピール期間が増えた」とポジティブに捉える傾向も強い。今年セレッソ入りしたばかりの18歳の西川潤もその1人だ。

 2002年2月生まれの彼は2024年パリ五輪の出場資格も持ち合わせているが、2019年のU-20ワールドカップに飛び級で出場したように「世界大会はより多く経験しておきたい」と考えている。

 東京五輪に関しても「出たい気持ちはもちろんあります。そのためにもまずはクラブで試合に出ることが大事。そっちに目を向けて頑張っていきます」と強い意欲を示している。その言葉通り、まずはセレッソでレギュラーをつかむことが先決だろう。

 桐光学園高校3年だった2019年4月13日のコンサドーレ札幌戦でいち早くJ1デビューしたレフティーは、バルセロナから関心を抱かれるほどの規格外のポテンシャルを誇る。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も「特別な才能を持った選手」と認めているが、ルーキーイヤーの今季はまだ公式戦出場がない。

「まずは試合に出ないと何も始まらない」

 2月16日のYBCルヴァンカップ・松本山雅FC戦と同22日のJ1開幕戦・サガン鳥栖戦はいずれもベンチ。続く2月26日のルヴァンカップ・ベガルタ仙台戦でプロ入り後初の先発出場が予想されていたが、新型コロナウィルスの影響で延期となってしまった。それから1ヶ月超の時間が経過し、西川は今季初出場の瞬間を今か今かと心待ちにしながら、自己研鑽に励んでいるに違いない。

「セレッソでは右サイドでやることが多いですね。サイドハーフに必要なのは守備力やハードワークだと思います。去年の宏太(水沼=横浜F・マリノス)くんのプレーなんかもすごく参考にしていましたし、今、(試合に)出ている坂元(達裕)選手も、激しい守備をしながらも攻撃の良さも出せる。

自分も監督から求められていることをやりつつ、特徴である左足を生かしたパスやドリブル、ゴールに直結するプレーを出していかないといけないと思います。時には自分が中に絞って他の選手とうまく絡みながらチャンスメイクする仕事も出すことも大事。まずは戦術を頭に刷り込むところからやっています」

 これまでの2試合は坂元の序列がより高かったが、Jリーグ再開後は超過密日程になることが想定されるため、坂元と西川が併用される可能性も少なからずあるだろう。その2人が揃ってセレッソの攻撃を活性化し、得点力アップに寄与できれば、悲願のJ1初タイトルに手が届くかもしれない。その時に持てる力を全て発揮するため、西川はロティーナ流を体に染み込ませることに徹している。

「昨年のセレッソはリーグ最少失点でしたし、守備は非常に強固だと思うんです。それを継続しつつ、もっともっと得点力を増やしていけば優勝に近づけると思う。自分もその一員としてピッチに立って活躍できるように日々の練習から頑張っていきたい。まずは試合に出ないと何も始まらない。そういう気持ちでいます」

 年明けから何度も噂されたバルセロナ移籍についても、今回の新型コロナウィルス騒動でしばらく凍結になりそうな雲行きだ。となれば、やはりセレッソで絶対的地位を築いてJリーグで足場を固め、1年後の東京五輪代表に滑り込み、自らの力で欧州移籍を勝ち取るしかない。

同期・久保建英を「追い越せる存在に」

西川潤
【写真:Getty Images】

 本人はそのことについては何も語っていないが、刻一刻と変化する状況を踏まえながら、そんな気持ちを固めつつあるのではないだろうか。

「いずれ海外でプレーしたいという思いはあります。でも、自分は今の実力をしっかりと見つめて、どこにいたら成長できる環境なのかを1つひとつ確認しながらやっていくタイプ。建英(久保=マジョルカ)を見ていても分かりますけど、外国に行くのならコミュニケーションも大事だと思うので、そういう部分もしっかりやっていかないといけないと感じています。

実は、大阪に来てからは英語の勉強も始めました。携帯で授業をするオンライン英会話なんですけど、時間があれば1日1時間くらいはやっています。高校に行っていた時は授業や部活、年代別代表と忙しくてそんな時間がなかったので、やっとそういうことにも取り組めるようになりました。建英のスペインリーグでのプレーを見て、負けてちゃいけないという気持ちは強いので、努力して追いつき追い越せる存在になっていきたいです」

 西川がこう語るように、同い年に久保建英がいることで、世界基準をイメージしやすいのは大きな利点。久保もマジョルカでは右サイドでプレーすることが多いだけに、スペインのインテンシティの高さやフィジカルコンタクトを常にイメージしながら、意識的に身につける努力もできるはず。そうやって着実に成長できれば、セレッソでの活躍も、東京五輪代表入りも、ひいては「久保越え」も一気に現実になるかもしれない。

 セレッソは永石の新型コロナウィルス感染によって4月10日まで全選手・スタッフに自宅待機や外食禁止が言い渡される異例の事態に直面したが、この時間を有効活用することも肝要だ。長い中断期間を経てひと皮剥けた西川が再開後のJリーグで躍動する姿が待ち遠しい。

(取材・文:元川悦子、取材日:2020年1月30日および2月16日)

【了】


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(文:○○ 取材協力:○○)

【了】

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