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日本代表 3年前

日本代表、攻撃のアイデアは2つくらい。最低ラインとしては合格だが、ワールドカップを運次第にしたくなければ…【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

リズムが良くなったきっかけ



 大迫勇也の欠場で1トップは古橋亨梧が起用されたが、限定されたスペースの中で決定的なプレーはなくオナイウ阿道と交代。橋本も川辺駿に代わった。セルビアのペースダウンもあったが、この交代で日本代表のリズムがよくなった。

 急遽招集されたオナイウは安定してボールを収め、的確に捌く。オフサイドと判定されて初得点は逃したが、1トップとして十分なプレーをみせる。川辺も軽快な技術と判断で攻撃を円滑にしていた。オナイウ、川辺を経由した攻撃でCKを得ると、鎌田のキックをニアで谷口が触り、伊東純也がファーサイドでフリーとなってゴールした。

 右SBに山根視来が入ると、伊東とともに右からの崩しでゴールに迫る。負傷した伊東と交代した浅野が後半44分にGKと1対1になったが決めきれず。しかし、セルビアに反撃の機会を与えず1-0で試合を終えた。

 鎌田は相変わらずのクオリティの高さを示し、守田英正も鋭いタックルと的確なパスで安定感があった。右からの際どいロークロスやカットインシュートで存在感をみせた伊東、フィジカルコンタクトに負けず国際試合でもやれることを示した谷口、交代出場のオナイウ、川辺、山根も好プレーをみせていた。

 権田修一は終始冷静で、ビルドアップも問題なし。この試合に起用されたところをみると目下の一番手だろう。

 ワールドカップは接戦が基本線になる。今回のセルビアが参考になるかどうかは微妙だが、均衡したゲームに持っていくまではできそうな日本代表のパフォーマンスではあった。一方、接戦を勝ち切るためには今一歩。攻撃のアイデアが鎌田を経由したときと、伊東がスピードに乗れたときぐらい。悪くはないが、素晴らしかったわけでもない。最低ラインとしてならば合格だが、ワールドカップを運次第にしたくなければさらなる進化は必要だ。

(文:西部謙司)

【了】

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