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成長なくして金メダルなし。目を見張る五輪世代の進歩、「経験値を与えればどんどん伸びる世代」を支えるオーバーエイジたち【東京五輪】

text by 編集部

酒井宏樹
【写真:Getty Images】



 U-24日本代表は28日、東京五輪のグループステージ第3節でU-24フランス代表に4-0で快勝。出場国中唯一の3戦全勝で文句なしの決勝トーナメント進出を果たした。

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 チームも選手たちも、大会を通して間違いなく成長している。そう感じさせられる場面はたくさんあった。

 MF相馬勇紀は先輩からのアドバイスを実践してPK獲得という大きな仕事をやってのけ、毎日のようにクロス練習に励んでいたDF橋岡大樹は五輪初出場でいきなり精度の高いクロスを連発。MF久保建英は3試合連続ゴールで、自ら課題と口にしていた決定力を改善してチームを勝利に導いている。

 そんな若い彼らの成長を下支えするのが、オーバーエイジの選手たちだ。時に直接声をかけて的確な助言を授け、努力し続ける背中を見せることで周りの選手たちに刺激を与える。DF吉田麻也やDF酒井宏樹、MF遠藤航の3人はプレーのクオリティの高さも去ることながら、ピッチ内外で大きな影響力を発揮している。

 森保一監督も「今大会の戦いに挑むにあたって、選手たちには日々成長、一戦一戦成長しながら結果をつかみ取っていこうと話をさせてもらっています。選手たちも上を目指しながら、少しでもレベルアップしながら戦っていこうと、チーム内で支えあって活動してくれていると感じています」と手応えを語っている。

 もちろん東京五輪をさらなるキャリアアップのきっかけにしようとしている選手たちもいる。FW上田綺世は「この舞台で活躍することが次の僕のキャリアにつながるとわかっている」と言い続けてきた。五輪の舞台は国を背負って戦うだけでなく、若手選手にとっては大きなチャンス。無駄にするわけにはいかない。

 酒井は「麻也くんの傍(かたわら)でやっていた鈴木大輔くんが、すごくその期間中に伸びた」と自身が過去に経験した2012年のロンドン五輪の例を引き合いに出し、「そういう効果を促すのがオーバーエイジだと思うので、毎試合あまり僕には似合わない責任感を持ってやらせてもらっています」と年長者としての自覚を口にした。

「持っているものは素晴らしいものがありますし、やっぱりここから経験値だけを与えてあげればどんどん伸びる世代だと思う。これからA代表にそこからグッといけるようになるのは、この大会にかかってくると思うので、少しでも、微力ながら手助けできればいいかなと思います」(酒井)

 吉田は「これからもっともっと化ける可能性があると思っていますし、これをきっかけにステップアップする可能性もある」と若手のポテンシャルに舌を巻いている。だからこそ自分の持っているものを伝えていくことをためらわず、積極的に働きかけもする。

 世界最高峰を知り、貪欲により高い場所を目指す若者たちを導くオーバーエイジたちの貢献度は計り知れない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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