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Jリーグ 3年前

高校サッカーのスターがサガン鳥栖で再ブレイク!? 背番号22が見せる成長と真骨頂とは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

真骨頂を見せた背番号22



「ファン・ソッコとエドゥアルドのところにプレッシャーがかからず、ズルズルと下がってしまった。それは想定内だったが、相手の距離感がよくて、奪いどころがハッキリしなかった」と柏の瀬川祐輔も後手に回ったことを認めていた。鳥栖としては理想的な入りを見せたと言っていい。

 こうした中、前半11分にCKの流れから小屋松知哉が瀬川のファウルを誘い、FKを得る。位置はペナルティエリア中央外側という絶好の位置。背番号10のキッカー・樋口雄太は迷うことなく右足を振り抜き、壁に当たってゴールに吸い込まれる。いち早く先制点を手に入れたのは鳥栖だった。

 前半の飲水タイムまでは完全な鳥栖ペース。だが、柏もテコ入れとしてアンカー・樋口のところを徹底マークし、高い位置から速攻を仕掛ける戦略へと転換してきた。これで鳥栖は少し押し返される形になったが、前半31分に2点目を奪って突き放す。

 この崩しは見事というしかなかった。20本近いパスを回した後、小泉が右サイドに流れた白崎に配球したことでスイッチが入った。白崎のマイナスのボールを小屋松が仙頭啓矢に落とし、浮き球のラストパスが中野嘉大へ。強烈なシュートをGKキム・スンギュがいったんは弾いたものの、小屋松が瞬く間に右足で押し込んだのだ。

「ヨシ君(中野)がシュートモーションに入った時点でセカンドボールは狙っていたんですけど、ちょっとコースがなくてどうしようかなと思っていたところで、うまく狙えて入ってよかった」と背番号22は満面の笑みを浮かべた。

 この鋭い飛び出しこそ、彼の真骨頂だ。2013年正月の高校サッカー選手権で仙頭とともに京都橘のエースに君臨し、5得点をマークして準優勝へと導いた当時の小屋松は、爆発的なスピードと最後の一刺しに優れたゴールハンターだった。171cmと小柄ながら非凡な得点感覚で一世を風靡した。

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