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Jリーグ 3年前

35歳の長友佑都は日本代表に何をもたらす? J1王者に見せた世界基準のプレーとは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

FC東京に勢いを与えた長友佑都のプレー



 FC東京にしてみれば、まさにそこが突きどころ。百戦錬磨の長友は「先手必勝」だと分かっていたはずだ。その思惑通り、この日の青赤軍団は序盤からアグレッシブな姿勢を見せた。左サイドバック(SB)の背番号50は目の前にいる家長昭博、背後から上がってくる山根視来の動きを警戒しながら、要所で攻撃参加。得点機をお膳立てしようと試みた。

 最たるものが前半30分のビッグチャンスだ。左で縦関係を形成するアダイウトンの内側から高い位置に上がり、スルーパスを受けた長友は精度の高いクロスをゴール前に送った。次の瞬間、田川亨介がニアに飛び込んだが、左足で合わせたシュートは惜しくも枠を外す。得点こそ奪えなかったが、長友佑都の真骨頂とも言えるプレーがチームに勢いを与えた。

 だが、こうした前向きなムードを川崎の先制点が打ち砕く。前半終了間際のロスタイム、左からマルシーニョがドリブル突破を仕掛け、背後から回り込んだ登里享平が上げたクロスを頭で合わせたのが、レアンドロ・ダミアン。これにはGK波多野豪も反応しきれなかった。川崎が2枚がかりで中村拓海に対して数的優位を作り、レアンドロ・ダミアンの侵入をジョアン・オマリが許してしまった。FC東京は与えてはいけない1点を献上してしまったのだ。

「失点シーンはレアンドロ・ダミアンにゴールを奪われたが、その前にアダイウトンが奪われてショートカウンターを受けた。奪われること自体は仕方がないが、全体の切り替えの部分があの時間帯は遅くなっていた。『一瞬の隙』を与え、それを逃さなかった川崎の強さを感じた」と長谷川監督は神妙な面持ちで振り返ったが、まさにそこが今のFC東京の課題なのだ。

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