ルヴァンカップMVP、なぜ稲垣祥はゴールを決められるのか? ボランチで今季12得点、名古屋グランパスで遂げた成長とは…【コラム】

2021年10月31日(日)9時59分配信

シリーズ:コラム
text by 元川悦子 photo Getty Images
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「天皇杯で負けてから時間がなかったけど…」



 開始早々の2分には前田直輝が切れ味鋭いドリブルで松田陸をかわしてチャンスを作る。さらに3分にも前田が右サイドをえぐってマイナスで折り返すと、柿谷と相馬勇紀が飛び込んだ。シュートこそ入らなかったが、電光石火の攻撃にセレッソ守備陣も戦々恐々としたことだろう。

 だが、前半は時間を追うごとにセレッソがじわじわと巻き返し、ボールを支配する。名古屋は自陣に引いてブロックを作って応戦する形になったが、それこそが「名古屋の形」。選手たちは決して焦っていなかった。

「天皇杯を0-3で負けてから時間がなかったですけど、監督が戦術の修正点をしっかり提示してくれて、自分たちもピッチで応えた。前回は自分が釣り出されすぎた部分があったので、個人的に反省していた。しっかりいるべきところにいて、抑えるべき選手をしっかり抑えないといけないと思った」

 稲垣が神妙な面持ちでコメントする通り、彼と木本恭生の両ボランチが中央をしっかりと固め、インサイドに絞ってくる乾貴士や坂元達裕の動きを確実に封じている。だからこそ、名古屋は「セレッソにボールを回させる展開」に持ち込めた。前半の0-0はまさにプラン通りと言っても過言ではなかった。

 迎えた後半、名古屋は一気にギアを上げてきた。勝負を大きく引き寄せたのが、開始2分の先制弾。相馬の左CKに柿谷がニアで反応する。頭でそらした瞬間、鋭くゴール前に顔を出してヘッドをお見舞いしたのが、前田直輝だった。

「あの形は結構、練習でもやってきた形。最後、僕が外すシーンが多かったけど、こういう舞台でゴールできてすごく嬉しかった」と語る。風間八宏監督時代の2018年夏に名古屋に加入した前田は、東京ヴェルディや松本山雅でJ2を経験した男。苦労人の一撃でチームは勢いづいた。

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