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酒井宏樹、オマーン戦は出場可能? 負傷への考え方に変化「自分のパフォーマンスが戻らない限りは…」【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

酒井宏樹
【写真:Getty Images】



 日本代表は現地16日に行われるカタールワールドカップのアジア最終予選でオマーン代表と対戦する。

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 9月に0-1で敗れた試合のリベンジマッチであると同時に、注目されるのは今月11日のベトナム代表戦を負傷のため欠場したDF酒井宏樹の状態だ。浦和レッズに所属するベテランは今月3日の川崎フロンターレ戦で同点弾を決めた際に負傷し、続く7日の鹿島アントラーズ戦を欠場。それでも日本代表に帯同して復帰に向けて調整を続けてきた。

「レッズも代表チームも理解してくれて、この活動に参加させていただいているので、そこは本当に感謝していますし、結局、チームにとっても代表チームにとっても(自分の代表合宿参加が)よかったことになるように頑張っていかないといけないなと。自分に課された使命だと思っています」

 そう語る酒井は、「練習の中でもやれることが増えてきているので、自分としても(コンディションは)かなり上がってきている感じがあります」とも明かす。ただ、受傷時の想定より復帰まで時間がかかっており「当初考えていたのとは全然違いますし、そこは本当に申し訳ない」とも。筋肉系の負傷のため慎重に調整を続けてきていた。

 森保一監督はベトナム戦の出場を見送った酒井の状態について、記者会見の中で「昨日すでにゲーム形式のトレーニングにも入っています」と述べた。試合出場に向けて着々と前進しているようで「(オマーン戦の)選択肢には入ってくる。もうゲームはできるというところまで回復しています」と起用に向けて前向きな見通しを示した。

 一方、酒井自身は「自分が出ていないことに関してのもどかしさはない」と強調する。コンディション調整に苦しんでパフォーマンスを落とした2019/20シーズンの経験から、負傷に対する考え方も変わってきているという。

「マルセイユ時代は骨に異常があったり、試合当日に発熱があってもそのまま試合をした経験が何度もあったんです。でも、筋肉系の怪我とか捻挫をした時に、2019/20シーズンなんですけど、そのままプレーをしていて半年以上を棒に振ったというか、自分のなかで全く納得できないパフォーマンスで、大好きなサポーターにも批判され、チームとしても疑いをかけられて本当に苦しいシーズンでした。コロナで中断して手術するまで納得いかないパフォーマンスのまま、リーグが終わったんですけど。

本当にあの思いはしたくないですし、それ以降、自分の判断基準は変わって。強いインテンシティを出せるかとか、本来のパフォーマンスを出せるというのが僕の判断基準で、試合に出たいとか、多少根性を出して強引にでも試合に出るとか、そういうのではなく、チームにどれだけプラスアルファをもたらせるか。それが本当のプロとしての責任感。そこを基準にしてやっているので、自分のパフォーマンスが戻らない限りは……というのはあります」

 負傷を抱えていても招集されたことで「信頼していただいているのは感じますし、信頼に応えなければいけない」と酒井は言う。だからこそ「生半可な気持ちで『できます』とは言えない。完全に『できる』と伝えたいなと思います」と、あくまでベストな状態に戻った場合にプレーするという意思を強調した。

 ベトナム戦の勝利に貢献したDF山根視来や、欧州で研鑽を積むDF室屋成も控えており「右サイドバックには素晴らしい選手たちが2人いるので、彼らのことも信頼していますし、チームみんなで勝ち上がっていきたい」と酒井は語る。

 あくまで最優先はチームの勝利。そのために最大限のパフォーマンスで貢献できるかが、彼の中での基準になっている。ワールドカップ予選突破のために極めて重要なオマーン戦を前に、「自分に課された使命」を果たせる状態を取り戻せるだろうか。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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