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リバプールはなぜ手こずったのか? 「75分間は我々が優れていた」の真意。帰還したジェラードに勝ったが…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

リズムを失ったリバプール



「ラストパスや最後の局面での判断力については、もっと良くすることができたかもしれない。1つか2つの局面では、もう1人、2人の選手たちがボックスの中に入っていたら助かっただろう」

 このようにクロップ監督はフィニッシュワークを課題として挙げている。リバプールは敵のしなやかで強度の高い守備ブロックにややてこずり、得点はモハメド・サラーが自ら獲得したPKを決めた1点に留まった。

 アストン・ヴィラは、ジェラード監督が就任してまだ5試合目ということもあってか、ボール奪取からどのようにカウンターを仕掛けてフィニッシュに持ち込むかという攻撃面は整備されていなかったものの、守備組織の完成度は高かった。

 対するリバプールはアレックス・オックスレイド=チェンバレンのワントップが機能したとは言い難く、前半は、なかなか決定機を創ることができなかった。サラーがPKを獲得したのは、58分にチェンバレンに代わってFWのディオゴ・ジョタが投入された後のことである。

 何より力関係で下回る相手に対して、自然と支配率が高まり、ボール奪取後の攻撃がリバプールらしく高速化する流れの中で、フィニッシュワークの質が落ちてしまったところはあるだろう。最後の質が“雑”になったというと言い過ぎかもしれないが、ハイテンポで加速する攻撃のスピードを自分たちで制御し切れず、「最後の局面」で「リズムを失った」ところもあるのではないか。

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