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南野拓実に復活の兆し。最終予選で未だノーゴールだが…サッカー日本代表の新システムで機能【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

南野拓実
【写真:Getty Images】



 カタールワールドカップのアジア最終予選が27日に行われ、日本代表は中国代表に2-0で勝利を収めた。

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 序盤から主導権を握った日本はFW大迫勇也のPKとMF伊東純也のヘディングシュートで2点を奪い、中国に完勝した。昨年10月のオーストラリア代表戦から導入された4-3-3の布陣で4連勝を飾っている。

 新たなシステムが中盤のMF守田英正やMF田中碧を中心に機能する一方、なかなか結果が出ていない選手もいる。アジア2次予選で7試合連続ゴールという結果を残していたMF南野拓実は、4-3-3の導入にともなってポジションを左サイドに移しているが、アジア最終予選では6試合に出場して未だノーゴールとなっている。

 中国戦前のオンライン取材の中で、日本代表の背番号10は「システムが変わってからゴールに向かっていくポジションが変わった」ことで「自分がゴールに向かう回数は少なくなっているかもしれない」という認識を語っていた。

 従来の4-2-3-1で南野は主にトップ下で起用されていた。MF鎌田大地が台頭したアジア2次予選後半は左サイド起用が増えたものの、ゴールの近くでプレーする機会は多く、相手のレベルがそこまで高くなかったこともあって多くのチャンスに絡めていた。

 しかし、4-3-3におけるウィングは4-2-3-1でのそれとは役割やポジショニングが異なる。南野にとってはリバプールでも親しみ深いシステムではあるが、「2次予選の時と違って相手のレベルも上がっていますし、シュートにいける回数は少なくなっている」となかなか結果が出ていないのが実情だ。

「もしかしたら真ん中からゴールに向かう方が自分としてはやりやすいと感じることもあるかもしれないですけど、どんなポジションからでもゴールに絡むプレーは自分の強みでもあるし、それを出してチームに貢献することを求められていると思う」

 そう語っていた南野は、中国戦でも左ウィングとして起用された。結局ゴールは奪えなかったが、これまで以上にゴールへ近づいたのは間違いない。中央へ絞り気味のポジションを取り、1トップの大迫勇也と近距離で絡みつつ、右サイドのMF伊東純也からのクロスにも飛び込んでいくようなプレーにはかなりの可能性が感じられた。

 2得点に直接関与した伊東は中国戦後に「(南野)拓実はサイドに張るより中に入ってくるタイプなので、自分が(サイドの)幅を取る」という役割分担の機能性に手応えを感じているようだった。

「拓実が中に入ってきて、サコくん(大迫)と近くでやって、中盤3人はボールを受けるのがうまいので、そこで受けた時に、自分が裏を狙ったり、(ドリブルで)仕掛けたりというのを狙っていければと思って、それが何回か出たかなと思います」

 南野が内側に絞ってくるため、その外側を追い越していくプレーが得意なDF長友佑都との相性はいい。38分には田中の縦パスを起点に大迫を経由して、ゴール前に侵入していた南野にビッグチャンスが生まれた。

 このように中盤の選手たちとの関係性の中でも決定機を作ることができている。南野がスタートポジションを離れて中央寄りでプレーすることによって、相手のディフェンスに混乱を生み出す効果もあるだろう。

 中国戦前の南野は「自分がどうやってチームと連係してゴールにつなげていくかは課題でもあるし、チームのためにそういう部分を今回も改善して、ゴール取れればいいかなと。何よりもチームの勝利が一番なので、自分のできることをやっていこうと思っています」と話していた。

 ゴールこそ奪えなかったものの、これまで以上の可能性を感じさせた中国戦をきっかけとし、2月1日のサウジアラビア戦で南野がゴールを取り戻してくれることを期待したい。ワールドカップ出場に向けて極めて重要な一戦では一層厳しい展開が予想されるだけに、背番号10がゴールを決められれば日本の勝利を大きく後押しするはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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