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日本代表 2年前

サッカー日本代表、強固な守備を生んだ「準備」と「自信」。トルシエと岡田武史から得たヒントとは?【コラム/W杯アジア最終予選】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

酒井宏樹や冨安健洋でさえW杯行きは怪しい



 ロシアW杯・ベルギー戦を例に取ってみても、日本は時間の経過とともにアクチュアルプレーイングタイムやパス成功率、デュエル勝率などが目に見えて下がり、ガス欠を起こして逆転弾を決められたという分析データがある。まさに終盤が弱点だったのだ。それを4年がかりで向上させ、5人交代の優位性も生かしながら複数選手を使って勝ち切る方向に持っていったからこそ、三笘の大活躍につながったのだ。

 そんなチームを力強く支えたのは、やはり守備陣の面々と言っていい。これだけ個々の競争力が上がれば、吉田や長友のような100キャップ以上ある面々でもカタール行きの保証があるとは言い切れない。

「自分自身はすべての部分でレベルアップしないと、W杯ベスト8という大きな目標を掲げているチームの一員にはなれないと思っている」と長友も強い危機感を口にしたが、ケガがちの酒井や冨安でさえも、コンディションを整え、万全にしなければ先行きが怪しくなるかもしれない。

 いずれにせよ、組織力とサイド攻撃への対応という2点を歴代の代表指揮官から学び、森保監督が今のチームにフィードバックした成果の一端が今回の豪州戦に出た。その成果を先々につなげ、日本のスタイルを確立させ、来る本番に挑むべきだ。強固な守りがないチームは絶対に上のステージまで勝ち上がれない。アウェイでの豪州戦未勝利のジンクスを打ち破った勢いに乗って、一気にチーム完成度を高めてもらいたい。

(取材・文:元川悦子【シドニー】)

【了】

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