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日本代表 2年前

サッカー日本代表、強固な守備を生んだ「準備」と「自信」。トルシエと岡田武史から得たヒントとは?【コラム/W杯アジア最終予選】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

最終ラインで存在感を高めたのは…



 点を取って勝たなければいけないオーストラリアは、案の定、序盤からハイプレスをかけ、高い位置でボールを奪いにきた。日本代表の最終ラインや中盤からの縦パスが敵の網に引っかかり、素早いカウンターでピンチを招くケースも前半には散見された。特に日本代表にとって厳しかったのが、吉田麻也と長友佑都の背後を突くパスを徹底的に出されたシーンだった。

「それは想定してなかったですけど、試合の流れの中で結構狙っているなと。彼らはそれで起点を作れたんで、意図的にやっていこうとしていたんだと思います」と吉田は分析したが、そこでしっかりとフォローしていた板倉滉。「つねに相手より先に準備しないといけないと思っていたし、カウンター1本の怖さがあったんで、しっかりと防ぐことだけ考えていました」と彼は戦術眼や判断力の高さをピッチ上で実証してみせた。

 酒井の代役・山根視来も対面にいるアワー・マビルの1対1の仕掛けに動じることなく対応。その堅守がサイドからのクロスの本数を減らすことにつながった。左サイドの方は、南野拓実が中に入って長友が高い位置を取る分、相手に侵入されやすく、CKを与えるケースもいくつか見て取れたが、これもゴール前で跳ね返した。苦しかった前半をしのげたことが、その後のペースアップにつながったと言えるだろう。

 後半に入ると、森保監督は早い時間帯に長友と中山雄太をスイッチ。高さと落ち着きを兼ね備えた25歳のマルチロールが左サイドに陣取ってからは、最終ラインに安定感がより出てきた。最終予選序盤戦までは2019年アジアカップ準優勝組の長友・吉田・冨安・酒井の4枚に依存する傾向が強かったが、最終予選を戦っていく中で、中山、板倉、山根、谷口彰悟らバックアップ的存在の面々が存在感を高め、穴のないプレーを披露。それも守備の厚みにつながった。

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