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Jリーグ 2年前

33歳・乾貴士、研ぎ澄まされた判断力と経験値は本物。川崎フロンターレ撃破で勢いづくセレッソ大阪、「プラン通り」と語ったのは?【コラム】

シリーズ:分析コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

山根視来と家長昭博をどう抑えるか



 負傷離脱中の清武弘嗣に代わってキャプテンマークを巻く乾貴士もその1人。彼ら左サイドは家長昭博・山根という川崎攻撃陣の中核ホットラインと対峙することになったが、新背番号8は要所で両方を確実にマークし、決定的な仕事をさせない。スペイン・エイバル時代に最も成長したという守備のポジショニングを昨夏復帰した古巣でもしっかりと表現し、背後にいる山中亮輔をリードする姿も印象的だった。

「家長・山根両選手は川崎のストロングポイント。チームとしてそこをどう消していくかは重要なテーマだった」と話したが、それを消す仕事を請け負った乾の貢献度は非常に高かったと言っていい。

 そのうえで、相手に打撃を与えるゴールを奪う大仕事をやってのける。最初の一撃は前半13分。加藤が谷口にプレスをかけ、ボールを引っかけたのが発端だった。これを拾った中原輝が前の加藤にボールを預け、中央を走り込んできた山田に展開した次の瞬間、背番号34は右足を一閃。シュートはスライディングしてきた山村和也に当たり、右ポストを直撃する。この跳ね返りに飛び込んだのが、新背番号8だった。

「自分はホントに詰めただけなんで、自分が何かしたわけではなくて、陸次樹と山田が積極的にゴールを狙ったおかげ」と本人は仲間への感謝を口にしたが、あの位置まで入り込めたのは、乾の嗅覚のなせる業だろう。
 続く前半28分のセレッソの2点目も、この男の一発だった。

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