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日本代表 2年前

サッカー日本代表、藤田譲瑠チマは20年前の小野伸二と重なる。戦術眼と老獪さ、先人と同じW杯への道【コラム/E-1サッカー選手権】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

「いい選択ができた」藤田譲瑠チマが語る手応え



 前半は相手の倍に相当するシュート6本を放ちながらスコアレスに終わった。ナ・サンホとキム・ジンスが陣取る相手左サイドから何度か攻め込まれたこともあり、嫌なムードも漂った。が、後半に入ると韓国の運動量が低下。スペースが空いてきたこともあり、より日本代表の勢いが増していく。

 その流れを決定づけたのが、開始4分の相馬勇紀の先制弾だ。ペナルティエリア右外でキープした藤田が右サイドを上がった小池へ展開。リターンを受けると精度の高い浮き球をファーサイドへ供給。ここに背番号16が飛び込んで打点の高いヘッドをお見舞いする形になった。

「1点目はマリノスの選手がすごく関わっていたなという印象で、右で崩してからリュウくん(小池)がボールを持って、トモキくん(岩田)が同じラインに入ったことで、相手の守備が散漫になったところで、トモキくんがスルーをしてくれた。その後、自分はフリーだったので、いい選択ができたのかなと思ってます」と本人も冷静なプレー選択ができたことを明かす。弱冠20歳とは思えない落ち着きだった。

 その後も長短のパスを織り交ぜながらの出し入れで敵を混乱させ、佐々木翔の2点目が生まれた直後には右サイドから50mのサイドチェンジ一発で局面を変えた。

 さらに27分には3点目の起点にもなる。西村に展開し、小池へとつながり、最終的にフリーの町野につながったこのゴールは、短期間で日本代表がすり合わせてきたコンビネーションが凝縮されていた。これがダメ押し点となり、日本代表は3-0で完勝。タイトルを手にする形となった。

 藤田は日頃の積み重ねが結実したことを前向きに捉える。

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