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古橋亨梧、旗手怜央らの前に立ちはだかった最強の壁。セルティックとレアル・マドリードの埋めがたい差とは?【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

見た目の印象とスタッツに大きな違いが…



 一方で、試合が終わった後に感じる悔しさは、いつも以上のものがあったのではないだろうか。「やれたかも」と思っていたのに、スコアボードには「0-3」という数字が表示されていて、スタッツを見てもセルティックのボール支配率はマドリーの64%に対して「36%」しかなかったのである。

 画面を通して見ていた印象だと、ボールを持っている時間は五分五分くらいに見えた。ビッグチャンスの数もセルティックの方が多かったように感じる。でも、終わってみたらボール支配率もシュートの数もマドリーを下回っていた。そこで初めて相手との大きな差が可視化されたようで不気味な後味が残った。

 振り返ってみると、マドリーの試合運びは巧みだった。前半は相手のプレッシングを慎重に見極めながら、細かくビルドアップの際の立ち位置を調整していた。特に4-3-3の中盤3人のポジションのパターンをいくつか試しつつ、いかに効果的にボールを前進させるか試行錯誤を繰り返していたようだった。

 早い時間帯にカリム・ベンゼマが負傷してエデン・アザールとの交代を強いられ、そこから再び相手との噛み合わせを見極めていった。そして、セルティックの選手たちの運動量や集中力がガクッと落ちた55分前後を境に、一気にギアを上げて相手ゴールを攻め落としたのである。

 マドリーはセルティックの選手たちがプレスに出てくると、両ウィングの背後がガラ空きになることを見逃さなかった。特にセルティックの左ウィングに入っていたジョタの背中のスペースが大きく、そこにルカ・モドリッチが顔を出してフリーでボールを持ち、フェデ・バルベルデやダニ・カルバハルらとの連係で前に進んでいけることを見抜いていた。

 56分にはまさにジョタのいるサイドを攻略し、抜け出したバルベルデのクロスに逆サイドから走り込んだヴィニシウス・ジュニオールが合わせることで先制点を挙げる。この失点によってセルティックの選手たちの強度がガクッと落ち、畳みかけるようにモドリッチが個人技から右アウトサイドシュートで追加点を奪う。3点目の前に、もはや勝敗は決していた。

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