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古橋亨梧、旗手怜央らの前に立ちはだかった最強の壁。セルティックとレアル・マドリードの埋めがたい差とは?【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

簡単には埋めがたい両者の実力差


【写真:Getty Images】



 セルティックの「アタッキング・フットボール」は、攻守ともいかに自分たちが理想とする展開でゴールに向かっていくかという視点で構築されている。2点取られたら3点取り返せばいいという考え方のため、弱点に目を瞑ってでもアグレッシブに攻め続けるというのが基本姿勢だ。ただ、マドリーほどの相手に対峙すると、いままではうまく隠れていた弱点が、ただの「弱点」として晒されてしまう。

 だからこそ先制点を奪って試合の主導権を握りたかったが、チャンスを決めきることができなかった。「どうやって相手を上回って勝つか」という術を熟知し、試合の中で互いに意思統一を図りながら組織的に変化していける百戦錬磨の王者に対し、CL初挑戦の選手が大半を占めるヒヨっ子軍団では太刀打ちできなかった。

 うまくいっているように見えていた前半も、マドリーからして見たら「まずはやらせてみよう」「無失点に抑えておけば大丈夫」くらいのメンタリティだったのかもしれない。簡単には埋めがたい差が、そこにはあった。

 ただ、ここで気落ちしてうつむいているわけにはいかない。次の試合はすぐにやってくるし、まだまだグループステージ突破のチャンスはある。初戦でマドリーに勝てずとも、シャフタール・ドネツクやRBライプツィヒに勝利して勝ち点を積み上げていけばいい。そして、11月のグループステージ最終節で再びマドリー相手に成長を見せつける機会がある。

 古橋や前田ら日本人選手たちも、初めてのCLの舞台でマドリーのような世界最強クラスの相手、さらにはカタールワールドカップで対戦するかもしれない選手たちと対戦し、さらなる成長のきっかけをつかんだはず。この試合で感じたものを無駄にすることなく、大きく飛躍するための糧にしてもらいたい。

(文:舩木渉)

【了】

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