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南野拓実にはどうしようもない。モナコは自滅でバラバラ。むしろチャンス?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

南野拓実にはどうしよもなかった3点差



 30分以上を残して3点差をつけられたモナコに、反撃するだけのエナジーは残っていなかった。「後半の立ち上がりは良かったのに、2失点目の場面では(コーナーキックの守備に)十分な注意を払えていなかった」と悔やむクレマン監督は、「そこから我々は組織的にプレーするのをやめてしまった」と嘆く。

 トラブゾンスポルに3点目を奪われた直後の60分に、モナコは3枚替えを敢行。FWブレール・エンボロ、MFアレクサンドル・ゴロビン、MFクレピン・ディアッタを下げてFWマイロン・ボアドゥ、MF南野拓実、MFジェルソン・マルティンスを送り出して攻撃陣にテコ入れをするが、焼け石に水だった。

 クレマン監督が「ここ数週間、組織的に戦うことは我々の強みだったが、今日の後半はそうではなくなっていた。この敗戦から学ばなければならない。相手より優位に立つには、常にチームとしてプレーする必要があることをよく示している。我々はチームであり、勝つ時も負ける時も全員一緒なんだ」と訴える気持ちはよくわかる。

 南野やボアドゥ、ジェルソン・マルティンスといったそれぞれ個性のあるアタッカーを配置しても、流れは一向に変わらなかった。アウェイに乗り込んで3点を失い、逆転は絶望的な状況で、選手たちの気持ちはバラバラ。自滅的な展開でモチベーションの矢印を向ける場所が揃わず、モナコには「チームとしてプレーする」という意識が決定的に欠如していた。

 そうなるといくら南野が1人で「何とか1点でも返そう」と頑張っても、周りが同じ気持ちでついてこなければゴールは奪えない。後半のモナコは7本のシュートを放ったが、1本もゴールの枠を捉えることができなかった。チームの歯車がどれほど大きく狂っていたかを象徴しているデータと言えよう。

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