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「もう言い訳はできない」南野拓実の4年間。サッカー日本代表、背番号10の飛躍と苦悩【コラム】

停滞する南野拓実を襲う焦燥感


【写真:Getty Images】



 クラブでの浮き沈みはあったが、代表では第一人者の地位をキープし、トップ下、あるいは鎌田大地と並んで左サイドでプレー。時には最前線にも入るケースもあった。得点頻度は森保ジャパン発足直後より少なくなったものの、世界最高峰のプレミアリーグで奮闘する彼の実績と経験値を森保監督も大いにリスペクト。2020年からエースナンバー10を託され、主力の重責を背負い続けた。

 2021年夏に「今季は勝負を賭ける」と決意を固めてリバプールに復帰する。しかし、ここでは再び厳しい立場を強いられる。代表でも鎌田、あるいは久保建英がトップ下を担うようになり、彼は左サイドへ移動。その結果、ゴールに絡む回数が減ってしまう。さらにはチームも停滞。背番号10への風当たりが強まっていった。

 その論調は、11月のオマーン代表戦で代表デビューした三笘薫が切れ味鋭いドリブルで決勝点をお膳立てしてからヒートアップしていく。「左サイドは南野よりも三笘の方がベター」という声が高まり、本人も苦悩の色をにじませることが増えてくる。

 10月のオーストラリア代表戦から4-3-3に布陣を変更したこともその一因だ。結果的に南野の守備負担が増え、得点チャンスが巡ってこなくなり、チームを勝たせられる仕事ができなくなったのだ。この時期には左サイドで縦に並ぶ長友佑都と打開策を深刻そうに話し合う姿も見られ、彼自身の焦燥感が透けて見えた。

 結局、最終予選のゴールは2022年2月のサウジアラビア代表戦の1ゴールのみ。全12ゴールの半数以上に絡んだ伊東純也やジョーカーとして強烈なインパクトを残した三笘に比べると影が薄くなったのは事実と言うしかなかった。6月シリーズでも最終予選終盤に代表から外れた鎌田や堂安らが調子を上げる中、背番号10は無得点。彼の立場はより一層険しくなった。

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