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サッカー日本代表、ボランチ問題が浮き彫りになったカナダ戦。光った柴崎岳と募る危機感【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

鎌田大地が語る問題「戦術どうこうよりも…」



 森保監督は流れを変えるべく、後半頭から3枚替え。上田綺世や堂安律ら好調のアタッカー陣に期待を寄せた。

 そこで再び輝きを放ったのが柴崎だ。後半5分に見せた左へ移動した相馬へのサイドチェンジなど、縦への意識を押し出し、攻撃の活性化を試みる。11分には鋭いスルーパスで上田綺世の決定機を演出。14分には上田へのパスでポストプレーを引き出し、ゴール正面に抜け出した南野のビッグチャンスのお膳立てもしてみせた。これが入っていたら結果は全く違っていたはず。柴崎の長短のパス出しが試合を通して光ったのは間違いない。

 後半21分から田中に代わって鎌田大地がボランチに入ると、さらに前への迫力が増してくる。それまでボールをもらえず孤立しがちだった堂安も「大地君がボランチに入ったことでちょっとリスクのある縦パスを入れてくれた。あれをやらないとボールを前に運べない。チームもより攻撃的になるし、僕みたいに中に絞るタイプの選手はやりやすくなる」と好感触を口にした。

 鎌田はフランクフルトでこの位置を本職にしているだけあって、デュエルの部分でも敵を凌駕すべく、堂々と戦っていた。

「戦術どうこうよりも今日はデュエルで負ける回数が多かった。球際の部分で負けると戦術どうこうじゃなくなってくる」とベンチで見ている時から課題を感じていた背番号15は、自分が出た場合にはそこから改善していこうと考えていたのだろう。もちろん暑さで相手がバテた時間帯ではあったが、鎌田効果が如実に出たと言っていい。

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