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サッカー日本代表、ボランチ問題が浮き彫りになったカナダ戦。光った柴崎岳と募る危機感【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

柴崎岳と田中碧が振り返るカナダ代表戦



「ショートカウンター気味の攻撃は武器になると思いますし、勇紀がうまく抜け出してくれた。難しいボールだったと思いますけど、よく決めてくれたと思います」

 その後も日本代表は久保建英が左から強烈なシュートを放った19分の得点機など、果敢にゴールに迫っていく。だが、このあたりからカナダ代表の球際や寄せの迫力が増し、ボールを奪えなくなっていった。

 とりわけ、厄介だったのが、右MFダジョン・ブキャナン。彼の縦の仕掛けに久保や伊藤洋輝が翻弄される場面が目立ち、右CKを繰り返し与えてしまう。そこからのリスタートの守備を繰り返す羽目になり、21分には中央のマークがポッカリ空く大きなミスが出る。これをスティーブン・ヴィトーリアに押し込まれ、前々からの課題だったセットプレーで同点に追いつかれたのである。

 結局、前半は相手に主導権を握られる展開が続いた。それでも田中は「自分たちの時間を作れなかったですけど、前半は逆に相手に時間を作らせた時間はなかった」と動じていなかった。

 むしろ敵陣でボールを奪う回数が多かったことをポジティブに捉えていた様子だ。前向きなマインドを持ちつつ、彼はケガ明けとは思えないほど精力的に動き、ハードワークを見せていた。強度的にもW杯で戦える水準を示したのは朗報と言える。

 とはいえ、せっかくボールを奪っても、ゴールに至る形に持ち込めないのは大きな課題。前半45分間のシュート数は日本代表の3本に対し、カナダ代表は12本と大きく上回っている。やはり苦しい展開だったと言わざるを得ない。

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