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「戦術・三笘」と言うのは日本だけ。サッカー日本代表の同点弾に演出した三笘薫の意図【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

「次の試合で勝つか負けるかでガラッと変わってしまう」



 今回の彼は体調不良で出遅れ、17日のドーハ入りから調整期間はわずか5日しかなかった。本人も「100%に戻しきれていない」と本音を吐露する。が、ピッチに立った40分程度は攻守両面で高い強度を維持し続けることができた。その一挙手一投足は今後に向けて非常にポジティブな要素。27日のコスタリカ代表戦はスタメン抜擢もあり得るだけに、自身の状態をより引き上げていくことが肝要だ。

「次の試合で勝つか負けるかでガラッと変わってしまう。この流れをうまく持っていけたら3戦目も余裕が出てくる。そこでチームも休めるし、ベスト16にもつながってくる。それだけこの1試合は意味があると思います。

 0-1から入って逆転したところはチームとして100点満点だったけど、個人としてはもっとコンディションを上げないといけない。途中でもスタメンでも、どちらもやることは変えないといけないですけど、しっかりと合わせていきたいです」と本人はまだまだ高い領域を貪欲に追い求める覚悟だ。

 いずれにしても、ドイツ代表のような最高峰の相手に対しても「戦術・三笘」が通用したことはプラス要素以外の何物でもない。もともとメンタル面や体力面に課題のあったドリブラーが、世界トップ相手に堂々と渡り合えることを実証したこの一戦は非常に大きな意味がある。この調子で劇的な成長曲線を辿り、日本代表を8強へと導いてほしいものである。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

【了】

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