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サッカー日本代表が描く「ずる賢いマネジメント」8年前の悪夢が今こそ活かされる【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

吉田麻也が描く理想と本音



 彼らベテランは最終予選突破が決まった後、代表活動のたびにドイツ代表・コスタリカ代表・スペイン代表とどう戦うべきかを徹底的に話し合ってきたという。吉田は9月シリーズの際には森保監督と議論を重ね、自室にほとんどいなかったことを明かした。そこまで緻密な準備を重ねてきたのだから、コスタリカ代表相手にミスを犯すはずがない。彼は確信を持って第2戦に向かうことだろう。

「スペイン6・ウチ6で次の試合に行けることが理想中の理想。前回は4で勝ち上がりましたけど、やっぱり安心できないですよね。だから6取れればっていうのはあります」

 そんな本音を吐露した吉田。ただ、今回のグループは6を取っても安心できない部分がある。というのも、日本代表対コスタリカ代表戦の9時間後に行われる試合でドイツ代表がスペイン代表に勝ち、最終戦でドイツ代表がコスタリカ代表を下し、スペイン代表が日本代表を倒すようなことがあれば、3チームが2勝1敗で並ぶからだ。

 そのシナリオを視野に入れると、やはり得失点差も重要になってくる。もちろん吉田らは「今はそういうことより目先の勝利に集中すべき」と意思統一を図っているが、1つでも多くゴールを重ねておくことが大事。特にオープンな展開になるであろう後半に若いアタッカー陣が思い切って行けるように、吉田は最終ラインの重しとして90分間、安定した守りを演出しなければいけない。

 酒井宏樹と冨安健洋の欠場が決定的になっている今、彼の統率力やリーダーシップはより重要性を増してくる。ドイツ戦で見せたような競り合いや1対1の強さ、的確なラインコントロールを次戦も維持し、未知なる2連勝を引き寄せてほしいものである。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

【了】

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