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権田修一、川島永嗣、シュミット・ダニエル。サッカー日本代表「端っこの3人」が支えた大躍進

text by 編集部 photo by Getty Images

『シュミットを使え』と皆さんが書いているのもよく知っています




 試合に出られないなら適当でいいや……とは絶対にならない。それが3人がカタールワールドカップに出場する日本代表メンバーに選ばれている理由の1つであり、お互いをリスペクトした信頼関係を構築できる要因にもなっている。

 シュミットは「(試合に)出ないなら出ないで役割があるし、ちゃんと控えにいるというのも、それまた意味がある。そのうえでやるべきことはたくさんあるので、出られなかったらその時の役割を全うするだけ。いつアクシデントがあって試合に出てもいいように練習から準備しています」と力強く語った。

 そして川島も「自分たち試合に出ないGKができるのは、ウォーミングアップのときにしっかりしたボールを蹴ったりすることだけ。僕たちはやることをやる」と、自身4度目のワールドカップは権田のサポートに回る姿勢を明確にしていた。

「今回はこの3人ですけど、アジア最終予選は(谷)晃生が入ることも多かった。大迫(敬介)が来たり、森保ジャパン立ち上げの時には東口(順昭)くんがいたり、(西川)周作くんや(前川)黛也がいたこともあった。だから、僕ら3人は日本人GKの代表としてここ(カタール)に来ているんです。

その中で、昔から日本サッカーを引っ張ってくれているのが永嗣さんであることは間違いない。最年長で、何歳になってもああやって(姿勢で)示してくれるのは、僕らにとっては本当にありがたい存在です。僕もメディアを見るので、『シュミットを使え』と皆さんが書いているのもよく知っていますけど、そういうライバル、レベルの高いGKがいるのはすごく大事。僕にとってはそういうもの全てがモチベーションです」(権田)

 チームの主軸としてカタールワールドカップのアジア予選を戦い抜き、本大会でもゴールマウスを託されたのは権田だった。ベルギーでパフォーマンスを高め、シュミットは権田を追い落とす勢いで成長を遂げている。そして、39歳の川島は凄まじい気迫で日々の練習に臨み、キレのある動きとリーダーシップでチームを盛り立てる。どんなに小さなプレーでも細部までこだわりを見せる最年長は、常に真摯な姿勢を見せ続け、“こなす”だけのトレーニングは絶対にしない。いつも最後までピッチに残っているのは川島だ。

 日本代表のGKチームは理想的な関係性を築いてワールドカップを戦っており、フィールドプレーヤーも含めたチーム全体の雰囲気作りやグループステージでの大躍進を力強く支えてきた。目標とする「新しい景色」を見るために突破しなければならないラウンド16でも、クロアチア代表に勝ってピッチの真ん中で抱き合う「端っこの3人」の勇姿が見たい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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