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上田綺世がベルギーで吐露する本音。日本人FWの壁と「あれしかできなかった」W杯【現地コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「あれしかできなかった」ワールドカップで募った危機感と刺激



「W杯で世界基準が分かったというよりは、どっちかというと、日本代表で活躍する薫君や律といった同じ世代の選手が欧州5大リーグのトップトップでやっているという事実に刺激を受けました。ああいうところで常に戦っている選手は、W杯のような大舞台でも違いを出せる。世界の相手との差というよりも、むしろ同じチーム内の選手との差を僕は感じたんです。

 実際、自分はコスタリカ戦しか出られなかったし、その試合でもあれしかできなかった。コスタリカ戦でできなかった自分がドイツやスペイン戦に出ていたら何ができたんだろう…という考えもあります。

 僕にとっては薫君や律、(田中)碧のような選手が同世代にいることが幸せ。彼らは自分よりも早く海外に来て、もがいて、今の地位を築いた。W杯の時にはそのことがすごく伝わってきました。そんな彼らをリスペクトしていますし、自分も今のセルクル・ブルージュでつねに自分自身を向き合い、アップデートをしていかないと。そう強く思っています」

 上田は改めて本音を吐露する。彼自身もリスクを冒してベルギーに赴いたが、三笘や堂安、田中碧らはもっと早くから困難な環境に身を投じ、異なるサッカー文化や考え方の違いに適応し、少しずつ実績を積み上げてきたのだ。ベルギーに渡ってからの7~8カ月間、異なるポジションでの起用、自分がほしいタイミングでボールをもらえないジレンマ、ぬかるんだピッチでのボールコントロールの難しさなど、Jリーグ時代にはなかった数々の出来事に直面してきた上田だからこそ、同世代の欧州組の実情がよく分かるはず。だからこそ、「彼らと同じ土俵に上がりたい」という思いを強めたに違いない。

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