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Jリーグ 1年前

京都サンガは今までと違う。許容されたリスクと大人の対応「小手先では絶対に裏返せない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

京都サンガの大人の対応



「今日も誰一人1-0で逃げ切ろうとした人はいなかった。もしかしたら1-1にされるかもしれないですけど、そのリスクを怖がっていては、過酷なJ1の長いシーズンを乗り越えていけないと思う。もし逆転負けをしていても後悔しなかったです」

 勝負を決めた湘南戦の2点目について、川﨑はこう振り返っている。

「あのとき、自分1人だけじゃなく、競った後にパトリックや(白井)康介君が走り出してくれたということが、自分たちのスタイルを表現していると思う。相手を上回れた点で、凄い価値のある1点だと思います」

 京都のスタイルを語るうえで、この試合における61分の判断にも触れておく必要がある。55分に先制した京都は、そこから間もなく、最初の交代カードを切っている。下げたのはインサイドハーフでプレーする福岡慎平で、ピッチに送り出したのはセンターバックを本職とするイヨハ理ヘンリーだった。

 京都はこの選手交代とともに配置を4-3-3から5-4-1に変えている。

「詳しいことは言えないですけど、シーズンの前からなぜそうするかというのは伝えていますし、守り切る、あるいは攻めるための形を選手と共有することが大事だと。今は並びとか配置よりメンタリティをどっちにもっていくかが選手にとっては大事だし、並びや配置はあくまで数の問題。戦術的な対応を含めて大人の対応をしてくれたと思います」

 大人の対応と評した曺監督に対し、川﨑は5バックへの変更をピッチでこう捉えていた。

「守るエリアは広かったんですけど、周りが見えていましたし、コミュニケーションが取れていたからこそ守ることができた。5バックにして後ろに人数をかけるというよりは、むしろプレッシャーをかけられるようになった。受け身にならず、相手ボールでも相手のやりたいサッカーをさせなかった」

 形式的には後ろに人数をかける配置だが、選手と監督の間にはスタイルを崩さずに戦いきるという認識があった。この共通理解こそが勝因と言っていいだろう。

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